愛を探す館?呪?

April 28 [Sun], 2013, 0:34

ようこそいらっしゃいました。
私は支配人の闇丘アリスと申します。
ここは、選挙の館。
私が運命を握る場所です。
さて、せっかくいらっしゃったのですから。
ほんの少しお話を聞いてはいきませんか?

え?
選挙の館というのだから何かの選挙をする場所じゃないかって?

お客様、鋭いですね。

そうです。
選挙をする場所です。

その選挙に参加されては如何かと思いまして。

選挙内容?

まあ、それは後ででも大丈夫でしょう。
では話をさせていただきます。

?呪い?

「凛咲、まだなの?」
「ちょっとー、早くしてよ!」
「姫丘さんってホントトロイよねー」

もう、こんなの慣れた。
いつからだろう、私がいじめられはじめたのは。
はじめの方はほんの少しパシられるくらいだった。
でも、いつのまにかカツアゲされたり暴力ふられたりしてた。
なんでだろう。
どうして私だけなんだろう。
それを思う度涙が溢れそうになる。
だめだ。
泣いたら終わりだ。
泣いたら、あいつらが嗤うだけだ。

私がいじめに受けているという事態に関係しない傍観者もこのクラスには存在する。

ただ、見て哀れむだけ。

そんな人達ですら私の中ではいじめをしている人となんら変わりなかった。

むしろ、そんな奴等の方が憎かった。

この、人を毎日憎むこの生活が私にとって普通の生活だった。

母親も父親も幼い頃に他界していて里親に引き取られている。

しかし里親からは引き取られた頃から虐待を受けていた。

だから、はけ口なんてどこにも存在しない。

いつしか人間という人間を何一つ信じられなくなった。
だけど・・・
どこか、心のどこかでは助けを求めてた。

私に気づいて欲しい。

私を助けて欲しい。

この状況に、誰か光を入れてほしい。
そんな思いも募っていた。

それでも誰も助けてくれないのはわかってた。

それに接点があるかどうかまではわからないが、自殺を図って手首だとバレやすいから肩の方をカッターで切る・・・所謂リスカをしていた。

ある日、転校生が私のクラスにきた。
ぱっちりとした澄んだ黒の瞳、2つに結ってある栗色の髪、透き通るほどの白い肌。

その姿は人形に近かった。

私とはまるで反対な世界にいるんだろうな。

「園丘姫花です!よろしくおねがいします!」

声は少し小さめだが、綺麗な声をしている。

彼女は美女という言葉よりも妖精という言葉のほうが当てはまった。

嗚呼、
なんて可愛らしいのかしら。

それに比べて私は・・・

皆と区切られた世界にいる。

妬ましい

羨ましい

憎い

――憎い

どうせ彼女も同じように私をいじめるだけなんでしょう。

私はそのことがとても憎かった。

羨ましい気持ちもあったけれど。

怨みのほうが強かった。

そして、とうとう月日が流れると、ついにいじめっ子の中心グループの子が、園丘さんを誘った。

私をいじめることに。

私はそれを見て、自分の未来が見えた。

私は、このまま、皆に嫌われた末、死ぬ。

自害か殺人かまではわからない。

でも死んでしまう。

それを思っても

何も感じなかった。

園丘さんは少し黙っていた。
どうしてすぐに答えを出さないの?
私が近くにいることに気づいてるから?

そんな気遣い、いらない。
どうせ私を罵ることに変わりはないのでしょう?

嗚呼、じれったい。

あなたにいじめられること、そんなのわかってることなんだから。

躊躇しなくてもいいの。

そんなことを考えて1週間が過ぎ去った日の朝。

いつもどおり学校に行って下駄箱を開ける。

開けてみると紙切れが入っている。

…これは……一体………??

迷わずその場で封を切った。

どうせ教室に行ったら封を切る暇さえも彼女らは与えてくれないのだから。

紙切れ―――手紙にはこうかいてあった。

――――――――

凛咲ちゃんへ

こんにちわ(*^^*)
話したいことがあるので
放課後、もし時間があったら
屋上まで来てください!
時間がなかったらこの手紙を
私のカバンの中にこっそり
入れておいてください。
突然で勝手でごめんなさい(^^;


園丘姫花…って…転校生だよね…

なんのためにこんなもの?

私にしたい話って?

そんなもの存在するの?


―――わかった。

これは罠。

私にする価値のある話なんて存在するわけもない。

だから、この、逃げ場のない屋上 で、私を罵ろうと。

そう考えてるんだ。

でも、なぜか断るきにもなれず、その手紙は所持し続けていた
そして放課後が訪れる。

恐る恐る、屋上へと続く階段を上がっていく。

屋上、殺されてしまうのだろうか。

まだ、生きていたい。

でも、

でも、死にたい。

もう限界なの。

お願い。

殺すのだったら


早く、1秒でも早く、殺して。


生かすつもりならば


その意志を、教えてください。


最後の3段。

急に怖くなった。

どうしよう。

でも、行かなくちゃ。

あの子が待ってるから。

恐怖心を抑えて、最後の3段を一気に駆け上った。

正面を見つめると、黒い髪をなびかせて彼女は立っていた。


「来てくれたんだ…よかった…」

彼女は嬉しそうに言った。

なにがよかったのだろうか。

「私ね、姫丘さんに話したいことがあるの、聞いてくれるかな?」

話したいことがあるというのは知っていた。

手紙に書いてあったじゃない。

ここまで来て断る理由もない。

「どうぞ。」

私は素直に答えた。


「わたしね、前の学校ではいじめられていたの。まあ、今のあなたの状況よりは大分マシだったんだけど…。
それでも辛かった。
人を見る目とか、理想とか、全部が変わった。
友達なんていなくて、人を信じることなんて、とうていできなくなってしまった。
ある日、わたしは何も感じることが無くなってしまった。
――つまり、感情が、心が壊れてしまったの。
憎むことも悲しむこともなくなった。
そんな状態で、ただただ時間だけが過ぎ去っていった。
どれくらいたったんだっけな…。
とにかく時間の動きを止めてくれる人がある時、現れたの。
最初は何も感じなかった。
でも、その人にあってから、だんだんと、少しずつ心が元に戻っていった。
そして、感情の全てが戻ったとき、わたしは泣くことしか、鳴くことしかできなかった。
悔しかった。憎かった。
あんな奴らに自分を滅茶苦茶にされて――!
すべての感情を涙に流した。
その時も、いじめは続いていた。
感じることがあった。
ここに居てはいけない。
もう心は壊してはいけない、誰にも壊させない。
決死の思いだった。
自分を想い、自分の重い心を優先したの。
そして、この学校を訪れた。
ここでは大丈夫。
そう思ってた。
けど、自分と同じ待遇、いや、それよりも過酷な状況にあるあなたを見つけてしまった。
わたしが見つけたときは、まだ感情があった。
――わたしは、あなたを救いに来たんじゃあないよ?
これは忠告。
このままだとあなたの感情もいずれ壊れるよ。
心には細心の注意を払っておいたほうがいいんじゃない?」

園丘さんの表情は話を続けていくうちに、どんどん無に近くなっていった。

これは…恐らく

園丘さんの

…本心…

本性を出した園丘さんは誰かに良く似ていた。


ふと蘇ったのは幼い頃の記憶。

昨日のことのように鮮明に覚えてる…。

黄昏時、肩を寄せ、怯えながら両親を待ち続ける4人の幼子。

もう、両親はここには戻ってこないと確信していた。

悲しみのあまり、1人の女の子は―




話をされたからか。

それとも思い出に浸ったからか。

どちらかはわからないが、なにか、抉られたような感覚に襲われた。

それでも、不思議と心は痛まなかった。

――なにも、感じなかった。



「じゃあ、私は行くね。」

そう言って彼女は屋上から出ていった。

彼女はなにがしたかったのだろう。

私には彼女の伝えたいことが伝わらなかった。
その日から、感じるということが減っていった。

それからどれくらいの日が過ぎただろうか―
凛咲はいじめに関して辛いとか苦しいとかという感覚がなくなった。

そこから1ヶ月後

凛咲のいじめは終わった。

終わったことに気づいたのはちょうど1週間後。

終わった…?終わり…?そうか…終わった…おわった……オワッタ…!

凛咲の中のなにかが弾けた。

凛咲は久しぶりに笑った。

狂気に満ちた、不気味な歪んだ笑顔だった。

気づいてしまった。

私の心、とっくに壊れてた。

園丘さんの忠告する寸前から

壊れてたんだ。

――ふざけないでよ

なんで

あんな奴らなんかに

勝手にいじめられて

勝手に心を壊されて

勝手に終わらされて

憎い

憎い

憎い

悔しい

口惜しい

なんで?なんでわたしだけ?

あいつらこそこうなれば良かったのに。

運命は不公平だ。

不公平すぎて理不尽過ぎて

自分が狂いそうだ。

いや、もう遅い

狂ってるよ

狂ってる

狂ってる

くるってる

クルッてる

クルッテル


狂気の沙汰だった。

狂いに狂った、悲鳴のような嗤い声をあげた瞬間、何かが私の目の前を塞ぐ。

…栗色の…ツインテール…大きな黒い瞳…

「なにするの…?やめて…」

「お願い…もう…やめてよ…1人でこんな…」

「…」

「ごめんね…忠告をしたときには…もう…もう、とっくに…壊れてたんだね…気づいてあげられたら…」

彼女は泣いていた。

私が狂い喚き鳴いているところを止めて


泣いていた。

考えられない

なんのために泣いているのだろう?

…私の…ため……?

私のためなのかな…?

「もう大丈夫?――大丈夫なの?大丈夫じゃないよね―ごめんね―気づいてあげられなくて―ごめ――」

「もうやめて…!!」

聞きたくない

私のための懺悔の言葉なんて。

私のためなんでしょ…?

わかったよ

私は此処に存在する…私はこの子にだけは必要とされてる…

嬉しかった

本当に嬉しかった

泣きそうだった

前の自分は既に亡き存在と化していた。

それに気づいたのはこの子のおかげ。
ここまで必要とされていただなんて…。

泣いて、鳴いて、哭いた。

嬉しさに自ら吠えた。

今まで気づけなかった私はただの馬鹿。

ありがとう――姫花――。

小春日和のとある日、私は心を取り戻した。

それでも、心の傷は癒えたわけでもない。

私は闇と光の狭間で永久に生き続ける―――



ーーーーーーー

どうでしたか?

なんの話かって?

呪いの話です。

これが呪いだと私は思うのです。

まあ、人によって捉え方は大きく異なると思いますが。

それでは、ここで失礼致します。
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