あじさいアイス 

March 12 [Sun], 2006, 10:29
始めまして。
これから話すお話は、きっと皆さんにもどこか共感できる、どこか似たところがあるって思えるお話です。身近に存在するであろう悩み、幸せ、そういった色々な感情を皆さんに気づいてくださるように書いていきたいです。お暇なときに是非立ち寄ってみてください。


あらすじ
明るく、でも中身はとっても繊細な女の子、美都(みつ)の恋と共に成長していくお話。

高1〜春〜 

March 12 [Sun], 2006, 10:42
やっぱり別れた方がお互いのためだと思うんだ。別れよう。
「やっぱりね・・・」
美都(みつ)は1人駅のホームで携帯を見つめながらぼそっと呟いた。
わかった
これが美都の精一杯の強がりであった。
別れを切り出してきたこの男、修(しゅう)は中3から付き合っていた。
美都の初めての相手でもあった。
美都は修の前にも何人か付き合っていたが、修との内容が1番濃かった。
美都は中学卒業前に1回修を振っていた。
振られるのが怖かったのだ。
しかし、高校入学前に修から連絡があり、結局ヨリを戻した。
そして結ばれた。
美都は幸せだった。
しかし、つかの間の幸せだった。
高校が別というのもあったのだろうか、会える日が週に1回になり、
2週間に1回になり、メールの返信までもが来なくなってしまった。
美都は予感していた。
修というのは無類の女好きで有名であり、覚悟はできていた。
感情を凍らせる準備はできていた。
そして、別れのメールがきた。
美都は平気なふりをした。

やっぱり、わかっていた、大丈夫

何度も自分に言い聞かせた。
その結果、別れのメールが来ても泣くことはなかった。
美都にはすがり付いて別れを嫌がる事ができなかった。
その行為は自分の負けを認めることになると思った。
負けたくなかったのだ。
せめて相手に〈こっちも別れたいと思っていた、ちょうどよかった〉と思わせたかったのだ。
そして修とは終わった。

高1〜春2〜 

March 12 [Sun], 2006, 11:26
美都はすぐに修とも友だちである正也に連絡した。
修と別れたよ
別れの原因など説明したりして何通かやり取りしていた。
あいつとは別れて正解だよ。友だちとしては好きだけど、あいつはいい男とは言えないよ。
美都もそれは十分わかっていた。
中学時代も修はクラスのグループの頭で、わがままし放題だったのだ。
しかし、美都は聞いた。
なんで?
あいつ他にも女がいたよ美都と付き合ってるときに。
美都は目の前が真っ暗になった。
この事は美都には重すぎた。
受け止め切れなかった。
修が女好きなことは十分に知っていた。
しかし、まさか自分と付き合ってる時に他の女とも関係があったなんて思いもつかなかった。
誰と!?
同じクラスだった島だよ。
美都は震えが止まらなかった。

まさか・・・そんな・・・

島は同じクラスで、よくおしゃべりをしていた女の子だった。
なんでも島から言い寄ってきたらしいが、どちらからとかそんなのは関係なかった。
美都は目が熱くなった。
凍らせた感情が解け始めた。
そして暗く冷たく濁っていった。

信じられない。
修・・・男なんて信用できない。

その言葉だけが美都の頭の中を回っていた。
修は女好きなので美都の周りの女子からは嫌われていた。
美都もさんざん反対されていた。
しかし、美都は自分だけは信じてあげようと思っていた。
きっと寂しいだけなのだと、本当は優しい人なのだと。
自分だけは一番の理解者になってあげようと思っていた。
これが使命なのだ、とさえ思っていた。
しかし、この結果である。
美都は裏切られた感でいっぱいになっていた。
いくら信用したところで結局いつかは裏切られてしまうんだ。
美都は自分の心が冷めていくのがわかった。
まるで、今までの考えは全て恋に溺れ、酔いしれていただけで、
悪い酔いからさめたようだった。
そして、自分の体が汚くなった気がした。
汚れてしまった。
かわいいと言って抱いてくれたあの腕、優しいあの顔、全てが他の人にも同じように向けられていたと思うと、涙が出てきた。
だまされていた自分に悔しくて、1人で幸せを感じでいた自分に情けなくて。
もう男なんて一生信じられない。
美都はそんな気持ちでいっぱいだった。

高1〜春3〜 

March 12 [Sun], 2006, 11:29
しかし、美都は弱った自分を誰にも見せたくなかった。
修と別れたことを友だちに話しても、涙することはなかった。
笑っていた。
「やっぱり無理だった。まーわかってたことだからしょうがない。たいしてショックはなかったよ。」
みんなにこう言っていた。
仲良い友だちには他に女がいたことも話したが、やはり泣くことはなかった。
美都は涙もろいタイプだが、まったく泣くことはなかった。
涙も凍ってしまったのだろうと美都は思った。
しかし、体のほうは違った。
男の人に肩をたたかれるだけでも拒否反応が出て震えてしまうのだ。
嫌気が全身に回る。
体まで凍らすことはできなかったのだ。

高1〜夏〜 

March 12 [Sun], 2006, 12:06
友だちと彼氏が欲しいとふざけあってはいるが、好きな人ができない美都にも体育祭の季節がやってきた。美都は祭りごとが大好きだった。
美都の高校の体育祭には応援団のいうのがあり、美都は是非やりたいと思っていた。
しかし、実行委員に入った美都は応援団に入ることはできなかった。

この時、同じクラスで仲良くなった3人がいた。
同じ実行委員に入った誠(まこと)、応援団に入った千秋と智子だった。
4人は高校に入ってすぐに打ち解け仲良くなった。
みんな彼氏がいなかった。
「ねーねー、先輩から聞いたんだけど、援団マジックってあるらしいよ!!」
噂好きの智子が昼休みの時間にしゃべりだした。
「なにそれ?」
美都と誠は聞き返した。
「これから体育祭までの2週間朝から夜までみっちり練習するでしょ?その間にカップルになる確率がすごく高いんだって〜。」千秋が説明した。
「へー!!2人ともがんばんなよ〜!!」誠が明るく言った。
「実はもう2人とも好きな人いるんだよね〜」
智子が照れながら言った。
誰なのかという話で盛り上がり、美都は自分はいつ好きな人ができるのだろう?と思い始めた。
だんだんと、自分も恋がしたいと思い始めたのだ。

ある日の放課後、全生徒は体育館に呼び出された。
各軍の団長、副団長の発表があったのだ。
美都だちのクラスは青軍に属していた。他には赤軍、黄軍とある。
青軍の発表の時、美都は目が輝いた。

かっこいい・・・誰だろあの人・・・

ほりが深く、身長は低めだが、とにかく美形の男だった。
発表の後すぐに智子と千秋に聞いた。
「あーたぶん2年の孝ちゃん先輩じゃない?」
智子が答えた。
「あの人かっこいいけど、性格悪そうだから苦手ー・・・」
千秋が続いた。
「そうなんだー。」
美都は別に恋愛に発展するだろうとは夢にも思ってなかった。
相手は2年生だし、接点もないし。
ただ単にカッコイイ!!って騒げる相手が欲しかったのだ。

高1〜夏2〜 

March 12 [Sun], 2006, 12:23
そして体育祭の日。
美都は実行委員なので、応援団の演技を来賓席の横のちょうど正面の席で見ることができた。
青軍が演技し終わり、次は赤軍だった。
美都はある人に目が釘付けになった。
「あの人誰かな!?」
美都は隣にいた誠に聞いた。
「誰だろ?でもたしかあの人1年だった気がするよ。」
誠は考えながら答えた。
「あの人、あたしが好きな押尾君に似てない!?!?」
そうなのだ。美都が今はまっている芸能人に似ているのだ。
「えーそうかな〜。」
誠は笑いながら言った。
美都はあの人と友だちになりたいと思いながら、ずっと見つめていた。
千秋は援団マジックにかかり、青軍の2年生の佐藤先輩と付き合い始めていた。

美都は校内でよくそのかっこいい人を見つけた。
ある日の昼休み、勇気を出してクラスの友達とアドレスを聞きに行った。
キャッキャしながら軽い感じを装っていたが、内心はドキドキしていた。
彼は勇(ゆう)といった。
近くで見るとあまり似てないなと思ったが、遠目はやはりCOOLな感じが似ていた。
美都はアドレスを聞くとさっそくメールを送った。
しかし、勇はとてもそっけなかった。
美都はすぐにだめだと思った。
そのことを千秋などに相談したら、勇には同じクラスに中学のときから好きな人がいるという。
1回付き合ったことがある相手で、一途に思い続けているという。

どおりでそっけないわけだ・・・

美都は落ち込んだが、すぐ立ち直りメールも送るのをやめ、勇のことは諦めた。
その少し後、勇がその人とヨリを戻した事を聞いたが、美都はまったくショックは受けなかった。
美都はすっかり勇のことは忘れていた。
後になって驚くところで登場してくるまでは・・・

高1〜秋〜 

March 12 [Sun], 2006, 12:38
美都は千秋と付き合っている佐藤先輩と顔見知りになった。
佐藤先輩は孝ちゃん先輩の親友だった。
美都はバスケ部に所属していたのだが、佐藤先輩も孝ちゃん先輩も男バスに所属していた。
それもあってか、廊下ですれ違ったときもあいさつをする仲になった。
美都はどんどん孝ちゃん先輩が気になり始めた。
恋愛対象として見始めたのだ。
孝ちゃん先輩はなんといっても、美都の好みの顔であった。
このことは、まず孝ちゃん先輩の親友と付き合ってる千秋に相談した。
千秋が役に立つと思ったのだ。
そして、ある日の昼休み千秋と一緒に孝ちゃん先輩にアドレスを聞きに行った。
孝ちゃん先輩は人当たりがよく、快く教えてくれた。
美都は楽しくメールをしていた、しかし恋愛に発展する様子はなく、ただの先輩後輩の仲良しメールでしかなかった。
それでも、美都はメールが返ってくるだけで嬉しくなってキャッキャしていた。

高1〜冬〜 

March 12 [Sun], 2006, 12:47
大ニュースが美都の耳に入った。
千秋が佐藤先輩に振られてしまったのだ。
佐藤先輩からの一方的な別れ方で、千秋はだいぶ塞ぎ込んでしまっていた。
千秋はかなり泣いてすがりついたという。
そして、諦められない、片思いでも思い続けると決心をしていた千秋を見て美都は決して自分にはできない事だなと思った。自分とは正反対だと。
そう生き方をかっこよく思っていない美都は呆れる一方で、
どこかうらやましく妬む気持ちが生まれていた。
そんな自分がとてつもなく嫌だった。
美都はというと、孝ちゃん先輩とは何の進展もなくどこかで諦めていた。
諦めたくなかったが、周りの友だちに聞かれても
「もう憧れの先輩って感じかな。」と言っていた。
自分にもそう言い聞かせていた。
負けた自分を見せたくなかったのだ。
振られるのが怖くなっていたのだ。
美都はいつの間にか恋に対して臆病になっていた。
千秋は孝ちゃん先輩と仲良くなった。
特に佐藤先輩に振られてから、千秋は色々孝ちゃん先輩に相談しているみたいだった。
美都は羨ましく思った。
そして、孝ちゃん先輩と佐藤先輩の仲を利用している千秋が嫌だった。
しかし、美都自身も千秋と孝ちゃん先輩の仲を利用して相談している部分もあったので、何もいえなかった。

高1〜冬2〜 

March 12 [Sun], 2006, 12:56
冬休み、久しぶりに千秋と二人で遊んだ日であった。
美都は千秋の部屋でくつろいでいると、千秋が急に孝ちゃん先輩の話題を出した。
「美都は孝ちゃんのこと好きだったよね?最近は聞かないけど、どう思ってるの?」
いつは悟った。
千秋は孝ちゃん先輩のことを好きになったのだと。
美都は自分の心が冷たくなるのを感じた。
「あー、孝ちゃん先輩のことはすきかと思ってたけど、メールしてるうちになんだか好きとは違うな〜って思ってきたんだ。なんか憧れの先輩として好きって感じかな。」
と笑顔で答えた。
千秋は安心したように「そっか〜。よかった。実は私も孝ちゃんのこと好きになっちゃったんだ。でも、美都も好きかと思ってたから、美都には言わなくちゃと思って。」と言った。
千秋の言い方を見ると、もうすでに孝ちゃん先輩とうまくいっている様子だった。
美都は好きだと言わなくてよかったと思った。
千秋に負けたくなかったのだ。
せめて誰にも負けを知られずに隠したいと思った。

美都の予想通り千秋と孝ちゃん先輩は付き合い始めた。
美都は相談していた友達に好きな人をとられるのがこれで2回目だった。
中2の春にも同じようなことがあったのだ。
しかし、中2の時のほうがたちが悪かった。
告白を急かされ、告白してみたものの振られ、その2週間後に美都になにも言わず急かした子と付き合っていたのだ。
何も知らず1人でドキドキしていたと馬鹿みたいに思え、
美都にとってそのことはかなりトラウマになっていた。
そのときに比べれば、ちゃんと付き合う前に自分に言ってきたのだから千秋はとてもよい友達だと思った。
しかし、美都には怒りが込み上がってきた。

なぜ?
なぜ友だちの好きな人をとるのか!?
なぜ相談をうけていたのか!?!?
信じられない。

この件があって、少し千秋と気まずくなった。
美都は、好きになってしまったものはしょうがない事だとはわかってはいたが、
仲良くする気が起きなかった。
しかし、周りの友だちには「憧れの好きだった」と言ってあるため、愚痴ることができなかった。
周りばかり気にしていて、自分は殻に閉じこもって自分自身を守ることで一生懸命で、
1人で傷ついて・・・
いつになったらこんな自分無くなるんだろう??
美都は不安になった。

高1〜冬3〜 

March 12 [Sun], 2006, 13:17
美都は千秋とは気まずいままであった。
誰かに千秋をいじめてもらいたいとも思った。
しかし、美都は中学の時いじめられた経験があるため自分ではやる気が起きなかった。
それよりも、美都はいじめられた経験があるくせに、誰かに千秋がいじめられればいいのにと
思ってる自分が恐ろしくなった。
自分はとことん悪い女な気がした。
こんな自分じゃ誰からも好かれないと、悲しくなり、やりきれない日が続いた。

ある日、美都は中学の同級生に地元で偶然会った。
その子は美都がクラスの仲のよいグループからいじめられてたときに、その子の仲間に入れてくれた恩人だった。美都はその子が大好きだった。
たわいもない会話をした後別れた。
その日の夜、美都はあることを思い出した。
修のことだった。
修と付き合う1,2ヶ月前、美都はその子から修が好きだと打ち明けられていたのだ。
そして美都はがんばれと応援していた。
しかし、結局美都は修と付き合うことになり、付き合った日の少し後、美都は何かのきっかけでその子にうれしそうに付き合うことになったと伝えていた。
美都はその時その子も修が好きだったことをすっかり忘れていたのだった。
美都が報告した時のその子の悲しみを隠したような笑顔が急に浮かび上がって、
美都は顔が真っ青になった。
自分は千秋よりもよっぽどひどいことをしていた。
いじめを助けてくれた恩人にとんでもない仕打ちをしていた。
美都は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
泣いた。

そうか・・・誰かにしてきたことはいつか自分も誰かにされるんだ。

美都は学んだ。
千秋が悪いわけじゃなく、自分が過去にそういうことをしてしまったから、今自分に降りかかっているんだと。
その後、美都は千秋に対する怒りは消えていった。

2006年03月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
新しいコメント
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:ajisai_ice
読者になる
Yapme!一覧
読者になる