鬼って、大変 

July 15 [Tue], 2008, 17:59
教習所の受付でまず足止めを食わされて、私は立腹した。
「そうやって偏見の目で見るとはさだめし、この区域は差別
主義者の温床となっているのでしょうなあ!」
受付は言う。
「赤い肌に虎パンにストキングとくれば、排撃したくもなりま
すよ。そもそもなに、あんた、人の仲間なの?」
こうやって世をしのぶ仮の姿で暮らしていると、面倒ばかり
がおこって、いけない。
「まあ、歴史をお勉強なすったらわかりますよ。我々鬼がいか
に人間に近しいところで暗躍していたかがね」
押し問答の末、やっとこさ私は教習を受けることができた。
しかし、災難はこれからが始まりだった。
乗った訓練用のカー、助手席にはエロい顔の親父、顔だけな
ら「不憫だなあ」で終わるのだが、実は精神もそうであって、
乗るなり私は太腿を犯罪的に触られた。
「なにをするか!」
「うぇうぇうぇうぇ」
気味の悪いおっさんである。相手が男だとも知らないで。大方
人間の女にはことごとくそっぽ向かれて、挙句、鬼の女でもと
いう腹積もりなのだろう。結構困る。
私は数字多めの国道をひた走った。
「こら、戻りなさい!」と親父は言った。
もう戻る気はなかった。鬼のまま、鬼のように死してやるぅ!
私はアクセルを踏みこんだ。

鬼さんこちら、手のなるほうへ。 

June 20 [Fri], 2008, 17:13
それほどのマヌケならば、鬼と呼び習わして
恐がることもなかろうて!
そう思った私は熟女の鬼の気ぐるみを着て
ご機嫌な調子で町へと繰り出したのであった。
みんな。みんな。びっくりしていた。
ここでそのびっくりさ加減を引用して、どれだけ
びっくりしていたかをアナウンスすると、
「見て、ママ、あの鬼、肉付きが良くて団地妻のそれ
みたいだよ!」(6歳男児)
「そんな、あんな変なもん、見ちゃあいけまっせん!」(42歳アパレル業)
「うわあ、角をはやした、おばはんか、さだめしごみ捨てと、夫には
五月蠅そうだ、腕のほうもたちそうだし」(29歳ニート兼世界征服希望者)
「虎パンからのぞくストキングがなんとも言えんな」(67歳風俗評論家)
「メタフィジカルに覗く背中の肉からは、われわれ近代人の久しく忘れて
しまったアンニュイなトポロジーへのヘゲモニー的絶対回帰が感じられる」
(31歳哲学思想ヲタク)

ほらこんなふうにね、みんな邪なんですよぅよぅよぅよ、Uhhhh・・・・・HA!

そんな阿呆どもを金棒で追い散らしてから私は教習所へ行った。

(続く)

離職したカッパ、ドンキホーテで暴れる 

May 24 [Sat], 2008, 16:01
「こんな皿、かぶってられっかい!」
そうやってわたくしは
われわれ種族のシンボルでもあった
皿を剥がしとり
猿のぬいぐるみに投げつけたのです
それはまた妖怪界からの追放を
意味したのです
「なあ、どしたらいんだろ?」
将来の不安をわたくしは
ドンキのブサイクな人間である
店員(男女すらわかりません)
にぶつけてみました
「とりあえずバランスボール
買いなせぃ」
で、買った
使った
腹筋を鍛えた
人間界での夜
「嗚呼、皿捨てなきゃよかった」

いっぱい聞けないし、又、いっぱい喋れない 

April 29 [Tue], 2008, 17:15
近所のNOVAビルがしまってからというもの、そこには
自転車しか集まっていない。ウサギもあの変な声で
「とめんなよぉ」と反駁もできない、かあいそうに。

そういう暗い話題はさておくとしてしましょう。ただでさえ
わたくしは明るいほうではないような人間になっておるの
で、ここは無理矢理にでもテンションをあげていこうとおもい
ます。と思ってMSNのネット記事を見ていたら、
キッチェでポップでナイスなのを見つけました。

<マックでAV撮ったるの話>
金に困った監督さんの悲しくて、でもおかしくて、せつなくて・・・・・・
なんて似非詩的に書き出す必要もなく、記事にもあるようにただ
セコイ話なんであります。
詳しい話はそっちで見りゃわかりますが、そのAVはいわゆる
露出系というジャンルらしく、そういう何でもないようなところで
露出し、赤裸な自己をさらけだして、胸キュン(はぁと)させる
ジャンルでも又あるそうです。

大変なことですね、主役をやるAV女優さんも10万の薄給で
やらされたらたまったもんじゃないですね。
ここで力みかえったコラムニストなら、ここから強引に
現代にっほんの歪みとかに結論をもっていきそうです。
いやですね、マックからの現代にっほん。

あー、この道暗いなあ 

February 20 [Wed], 2008, 15:39
 彼はしかし、女のふっくらとした重味のある乳房を柔かく握って見て、
いいようのない快感を感じた。それは何か値うちのあるものに触れて
いる感じだった。軽く揺すると、気持ちのいい重さが掌に感ざられる。
それを何といい現わしていいか分からなかった。
 「豊年だ! 豊年だ!」といった。

暗夜行路読んでたらこのような場面にでっくわしました。
こいつぁなかなか笑いがわかってたんでしょうかね、志賀さんも。
「それを何と現わしていいか分からなかった」のあとには、
普通の作家なら色々と書く誘惑に駈られたりもしようものですが、
そこをすぐさま理屈も飛ばして「豊年だ! 豊年だ!」とつなげる
あたりが心にくい、そして、「豊年」ですからねえ、なんとなく田畑
もみえてくるようでそれが乳房ですからねえ。みのりある一年を
神に感謝しましょう!

敵はどこにでもあり、だから手当たりに試みに折檻 

December 09 [Sun], 2007, 15:45
 じゃらの助は夢からさめると、目覚めの倦怠も感じさせない速さで
体のバネを使っておきた。隣家の恥助(ちすけ)のところへと向かった。
やつがむかつくからである。
 ……話が飛びすぎ? ほほほ、ごめんあさばせっぇい、説明致します
ね。そのまえに謝罪文とか書いちゃうとくう?
 
 御免御免と何度君にあやまつただらう かうまでに旧いていすとで謝
罪してゐるとういふのに もしかして あれか 旧さ加減がたりなゐのか
ならば 所望どほりにしてやらう

 りせ砕玉てつなと丸一 軍国帝本日

 これでは昭和である。しかも旧漢字も表示できなくて不機嫌だから、あ
きらめて、しょうがないので、穴埋め説明。
 じゃらは起きたとき、今みた夢をオノブにあますとこなく説明しようとおも
ったってわけですよ。ところがね、いないんですね、彼女。なにゆえおらぬ
のか、亭主が神代までドリームトリップしていたというに。じゃらは、ここで
オノブが自分が寝ていることをいいことに恥助の家を訪問し、ねんごろな
情事に及んだとおもったのです。もちろん、これはただの寝ぼけているだけ
ですしかし、変に覚醒した時に倦怠感が少なかったものですから、自分は
いま冴えているという早合点をおこしちまったってぇことですわい。ゑいゑい
、と幸田露伴の小説のキャラみたいな掛け声をあげている場合では勿論
なくて、じゃらはもう既に囲炉裏の前まで来ていたのであった。
「てめえ、破廉恥にもほどがあるぞ」
 恥助は「はあ?」って顔でメシをかきこむ手を止めた。「どしたね?」
「馬鹿ヤロウ、そこにいるオンナが誰のもかってえことを腕ぷしでわからせ
てもらいてえのか、ゑいゑい」
「やめてくださいな、夫」
「冷めた言い方するなよぉ、妻」
「わたしはね、恥助さんに食べ物わけてもらいたくって、伺っただけなので
すよ」
「そなの?」
「それをまあ、わたくしが痴情をやらかしているとでもおもったのですか?」
「すまんかった」
 恥助はメシを食う手をとめた。
「なにか訳ありっぽいな。あの国司にかくれて食い物せっせとためてた、
あんたらがこうして来るとは余程のこととみた。話してみせらせ」
「じつはな……」それよりもじゃらは神の世界の話をしたくなって、そちらを
重点的に話したくなったのである。

つづく

あー、そうですか、そんなことが。 

November 23 [Fri], 2007, 14:01
 神様はやっぱ違うなあ。わたくしはこうしてお召し物を着ていらっしゃると言う
のに、わたくしの内実すなわち臀部の毛の状況を見透かされていて、ご開陳
なさったのだからなあ。じゃらの助は、へへえ、とひれ伏した。
「おお神様、おれのような素寒貧の者に御姿を現して頂き……至極光栄至極
と至極で光栄を挟みたくなるほどに、栄光に包まれておりまする」
「そいつぁ、GODもといGOOD。こちらとしても出てきた甲斐があったなあと喜
べる。うん、うん」
「しかし、問いがあるのです」
「おほ、申してみぃ」
「今まで、神は複数おるとおもっておったのですが、木やら土やらに。そして、
家やらうちのカカアのほくろとかにもいると没した祖父から、夜なべ夜なべに
聞かされておりましたのです」
「あー、当番制? ていうかシフトを組んでいるっていうか。一人で回すとね、
色々、体にクルやん? わかるやろ、そういうの」といきなり神は大阪弁にな
ってフレンドリーな声色で言った。
「ええ、なんとなく」ここは逆らわないでおくことにした。
「でね、当番だからね、一応仕事はしないとね」
 すると、天から何か落ちてきた。また透明なおじゃまブロックだろうかと、じゃ
らの助がビビッテいると、それは一枚の巻物であった。
「ひもといてみい」
 ひもといた。一番右端のタイトル欄には「たくせん」と、すこぶる汚い
字で書かれていた。じゃらの助は生憎文字といえば自分の名前しか書けなかった
ので、その旨を今日の当番の神に言上した。
「え? あ、ごめんね至らなくて。手間どらせて恐縮だけど投げてもらえるかなあ」
 天にか! しかし、嗚呼! 地を這う人間にとって天はあまりにも遠い!
 じゃらの助は体中のバネを全て使って巻物を放り投げてみたが、届かなかった。
 神、ここで急にキレる。俗界における「ギャクギレ」と言うやつであった。
「もういいよ、お前には託宣しない! ご大層な大目的はたばかりつつ捏造すれば
いいでしょう。人間なんてそんなもんだよ、ね? ね? ね?」
 天が荒れくるいはじめ、上からは岩で出来た天井が出現した。それがズンズンと
下降してくるのだから、こわい。おっさんもこわがってる。漏らすものもいる。メタボは
恐怖でやせる。
「あー、神様の世はやるせないなあ」とじゃらの助が感嘆をもらした時には、岩のひ
び割れた面がはっきりと見えていた。

なんちゃって古事記世界へのヴォヤージュ 

November 14 [Wed], 2007, 16:54
「くっそう、ここはどこだらう」
 じゃらの助は夢のなかで迷っていた。周りにはコンクリブロックを積み続ける
おっさんらがひしめいていた。
「ああ、髪さまわしらをお助けくだせえ」とおっさんの一人が言った。
 すると上のほうからオカマっぽい声が響いてきた。
「五段つみおわったらね」
「イェーィ」と勇んでブロックを積んでいくおっさんを見て、じゃらの助は、そうか
 おれは遂に天が上の世界に来たのだなあ。こりゃなんとも心が打ち震えるな。
しかし、かみさまがおわす所にしては不毛であって、背景は童の落書きとしか
思えない太陽がつたない回転をしているし、今見える限りで最も背ぃの高いもの
はと言えば、似非芸術家がいかにも拵えそうな、未来的(?)丸みを帯びた……
バグパイプだった。大理石を材料に使っているように見えるのに、ちゃんと音が出る
らしく、そこからはいなせな(別世界だからこそ、イナセがくっつけるのである)J-POP
が朗々と流れていた。

 投げ出さないで 自分自身の 未来を
 壊さないで ボクとで作った 希望を
 青い空はいつも そこにあるから
 だから おそれないで 一歩
 
「むふう、さすが神がお治めなさる世。高尚だわい」
 じゃらの助が無邪気に感心していると、おっさんの一人が悲鳴をあげた。きぇぇぇ。
「どうされました?」
 見ると、三段積んだブロックが泡となってはじけて消えたのである。先ほど聞いた
話ではあれを積まないと神に会えないのだそうで、ということはまたやり直しかあ。
かわいそうに。と同情していると、悲劇とは連鎖するものである。
「ひえええ」こんどはメタボのおやっさんのブロックが同上、消えた。そのときはどこと
もなく、可愛い女の子の声で「2ぃ〜連鎖〜!」と叫ぶのがきこえた。
 連鎖といったからには続くのだった。3〜ん連鎖〜! 4〜ん連鎖ぁ〜! すごーい!
もっといっちゃうぞぉー! そおれ20連鎖〜!
「おお神がお怒りじゃあ」
 その証拠に上から透明なブロックが落ちてきた。人々、おどろき、まどいて、三々五々
散り散りになった。じゃらの助は恐がらず、「昔、ミヤコでちら見して、垂涎するまで欲しく
なったギヤマンのようであるなあ」と却って喜んでこれを集めたのだった。
 てえーてて、てえーてて、てってててえてて、てってっててえてえ、てってってってー。
テトリ○のBGMがバグパイプから流れてきて、おおこれならリズムに乗れる、とじゃらの助
はこ気味よくブロックを集められた。ほほほ、俺、申楽田楽の素質があるかもと喜んでいる
と、天からのお声が降り注いできたのだった。
 やりおるな、尻の毛がこゆいものよ

じゃらの助、キレル方法暗中模索 

November 06 [Tue], 2007, 16:03
 作物の豆を不当に食したこと、および、不埒にも恐れ知らずにも家に作物の豆を隠して
もっぱらどぶろくの肴にしていたことなどが露顕してしまったじゃらの助は、国司にこっぴどく
怒られましたとさ。
「なんということか、わたしの肩や背中には、いま、種々雑多な打撲痕、そして、ハリセンで
したたかに打ち付けられ、汚辱にまみれてしまった頭がなんとも痛く、歯痒い。嗚呼、私の
飢えた喉にたとえ甘露が流しこまれようとも、私の喉はそれを一滴も通しはせぬ、豊穣なる
豆の美味のなんたるかを熟知しておる舌さえも、いまは地獄を巡ってきた餓鬼畜生のように
性根貧しきものとなりはててしまった。嗚呼、我に一条の光を!」
 と、西洋浪漫派詩人の残りかすのような台詞を言って、こやつはあまり深刻な状況ではな
いのではないかと、訝る賢人仙人の如き読者のエブイリバディもいらっしゃろう。しかし、じゃ
らの助にとってはこれは、本気のシリアスの、もひとつ留めにあるてぃめっとな告白だったの
である。
 いかにも独り言くさいが、これを傍で聞く者はちゃんといた。彼の妻のオノブである。
 オノブは「お延」という名前の由来を遡ればわかる通り、延べ棒のような細長い顔を持つこ
とからその名が付けられた女であった。
「あんた、いわんこっちゃないのよ。文学的に浸っている場合じゃないですわよ。あなたが一篇
の詩を吟じている間に、うちの家計はファイヤーカーなのですよ。脱税よろしく貯めこんだ、豆、
その他諸諸が奪われてしまってはどうするというのですか。もう臨月入りそうだし。私のへそくり
も見つかったし。プンプン」とプンプン怒っていた。
「うう、すまねえなあ、俺のぉ甲斐性がねえばっかりに」
「ええ」
 くそう、否定もしなくなりおったか!
「ああ、寝て、屁して、鍬と戯れれば、何か妙なる案が浮かんでくるかもしれん、だから寝る」
 じゃらの助は不貞寝してあれこれ夢のなかで考えた。けれども何も思い浮かばず、本格的なレム
睡眠に入ると、己の危機的状況もどこか桃源郷のすみっこにでも飛んでしまったのだった。

つづく

広がる鍬の怨み 

November 04 [Sun], 2007, 16:42
 武蔵のくにの農民、じゃらの助はアッパー層を牧歌的に憎んでいた。
「あー、あいつらは、くもうえびと、わしゃこやって必死こいてえんどう豆つくってんのに、うべべ」
じゃらの助はいつもいつもこういう類の愚痴を吐瀉しながら、アグリカルチャーに勤しんでいた。
 そんな折、酷使(誤字、本当は国司、でもまんざらでもないかも)が田んぼの進捗具合を監視
するという、いつもはずぼらに甘んじている阿呆のくせに、なにゆえこんな時に。
と言うのも、じゃらの助は作物の豆を食っていたからである。
「おはようございます、農民」
 じゃらの助は腋をくすぐられたときに、しばしば挙げる奇声をあげた。
「ああ、これはどうもご機嫌うるわしゅうございます、中級官僚」
「どうでしょうかね、今は憩っている最中でしたか?」
「はい、ご賢察のとおりで」
「ほほお。豆は」と国司は豆をヤラシイ手つきで撫で回して言うには「やや痩せているような
気がしないでもないような、そんな気が致しますが、失礼、気を回しすぎでしょうかね? はは」
 この下司国司め、とじゃらの助はむかついたが年貢の増税は勘弁御免だったので、
口ぶりはあくまでもあくまでも、敬いを込めて、
「疑義はごもっともでありますが・・・えー・・・」
「手抜き・・・・・・でしょうか?」
「はは、ご冗談を!」
 じゃらの助は徹底抗戦する気構えを鍬からもらって、それを握って口論してやらうと
決心するのだった。                                つづく

※時代設定はぐちゃぐちゃです。