ハマースミスのうじ虫 

November 13 [Mon], 2006, 13:43

気づいたら、11月って…!
おかしい。サイトの日記で書かないようにって、こうしてブログを作ったはずなのに、サイトで語ってることが多いってどういうことか!
てなわけで、サイトでも書いてなかった(はず)の『ハマースミスのうじ虫』をば。

手に取りづらいタイトルだなぁ、と本屋で見かけたとき、思いまして。
だって取りづらいでしょ。うじ虫って…うーん。
でも、古典の名作とか、新訳での復刊とかあるわけですよ。私的にそそられて…。
面白かったです。
テンポはゆったりとしてるんですが、よく出来たミステリーでスリラーな話でした。
何でも、作者のモール氏は元スパイという肩書きの持ち主ということで、主人公の考え方、行動理念はその経験が生きているからこそなのかも。

ですが、テンポはゆったりです。007なんかと比べるとえらい目みます。
でも、ジョナサン・キャロルの『死者の書』に比べたら、テンポ、速いとは思いますが(笑)
あれは半分過ぎまでストーリー、動かないんだもんよ…。伏線だらけではあるんだが。


えーと、あらすじか。
主人公ですが、キャソンという名で、ワイン商をしています。彼には変わった趣味があって、人間の珍種を収集すること。
どんなん?って話ですが、例えば、犯罪者の観察とかね。
で、今回、彼の眼鏡に叶ったのが、バゴットという謎の恐喝者。
いそうだけど、ちょっと変わった人間を細かい描写で書き出しているのが、本作だと思います。


以下、ネタバレ。

消えた装身具 

February 10 [Fri], 2006, 14:33
コリン・デクスターの「消えた装身具」を読み終わったので…。

イギリスに観光旅行に来たアメリカ人やカナダ人たちの一行を巡る話になります。
夫婦もいれば、一人でやってきた男、女もいる。
彼らは繋がりを持たない、そんな集まり。
ツアー客ですから、それは当然といえば当然ですよね。
私も、イギリスに一ヶ月ほどですが、短期留学したときのメンバーはお互いにまったく知らない人間ばっかりでしたから。
そんなメンバーがホテルに泊まるのですが、メンバーの一組の夫婦の奥さんがホテルで急死します。
そして、その奥さんの持っていた「ウルバーコートの装身具」という博物館に寄与予定のルビーのついた高価な装身具が姿を消していた…。

モースは最初、彼女は殺されたんじゃないのか、と疑ってかかるんですが、まあ、それはそうですよね。
装身具の盗難と殺人を結び付けるのは、当然の結果でしょうから。
けれど、検視官のマックスは、彼女は病死以外の何物でもない、と言いきる…。
そして、起こる本当の殺人。

消えた装身具と死んだ女の関係は。
殺された別の男は、事件とどう絡んでいるのか。

相変らず、苦労を掛けさせられているルイスがまたいい味を出してくれています。
ホントにね、モースに付き合える人間はルイスだけだと思うよ。
モースって勝手な上に、とっぴな人だから…。
でも、そんなモースが魅力的。

たっぷりと張られた伏線をひとつひとつモースの考えとともに辿っていくのが楽しかったです。
ラストではしんみりして下さい。
観光客たちが廻った観光地に行きたくなりました。

以下はネタバレ。

町でいちばん賢い猫 

January 26 [Thu], 2006, 0:13
今日は、トラ猫ミセス・マーフィシリーズ一作目の「町でいちばん賢い猫」を。
まずはこの作品の特徴。
二つの視点で殺人事件を見ることが出来ます。
まずは女性郵便局長のハリーたち、人間の視点。
そして、もう一つは、トラ猫ミセス・マーフィたち、動物の視点です。
作者もスニーキーパイという猫との共著という形になってます。

動物の出てくる、というか、猫の出てくるミステリーで代表的なものと言えば「三毛猫ホームズ」と「シャム猫ココ」のシリーズだと思うんですが、この二作とはまた違った趣になってます。
ホームズもココも、作中の中ではあくまで猫ですよね。
猫同士でいてもしゃべったり、ってことはないし。
片岡とかクィラランみたいな人間が猫たちの意図したいことを汲み取って事件の真相に近づくってスタイルと違って、ミセス・マーフィたちは、動物同士でしゃべります。
しかも、人間に対してけっこう辛辣な意見もあって、「ああ、でもなるほどなー」とそんなところも楽しめます。

こういうシリーズ物が成功するためには、キャラクターの今後をこれからも見ていたいって思わせることが必要だと思うんですが、このミセス・マーフィシリーズは成功してると思います。
人間たちも個性的だし、動物たちも個性的なんですよ。
特にミセス・マーフィは元夫が浮気して、帰ってきたとき、ハリ手で追い払った過去の持ち主。
賢い上に、かっこいい女性なんですよー。
相棒のコーギーのタッカーもまた可愛い。
動物を飼っている人にも、動物が好きだという人にもおすすめですよ。
でも、何気にブラックユーモアの効いた猟奇的な殺人を取り扱ってるんで、そういうのが苦手な方はご注意を。

以下はネタばれ。

シュガークッキーが凍えている 

January 17 [Tue], 2006, 14:50
気付けば2006年。
うっかりすると2005年と書いちゃうなぁ。
あぶねぇなぁと思うのは仕事で日時を記入するとき。

2006年は「シュガークッキーが凍えている」からで!
ホントは12月中に書くつもりだったんですが、何だかんだで忙しく…orz

待ちに待った新刊だったんですが、今回は中編だったな。
初めてじゃないかね。ハンナが危険な目に合わなかったのって(笑)
前回の「ファッジカップケーキは怒っている」で取り上げられていたレイク・エデンのレシピが、まるっと載ってます。
ハンナのコメントも載ってるんで、笑いも誘ってくれます。
うまそうなんだが、ジェローの料理はやはりピンと来ない…。
ゼリーのサラダってどんなのかなー。味ってどうなんだろな…。
コンソメのゼリーとかじゃなくて、フルーツゼリーっぽいから余計に謎なんだよ。
ハンナ・スウェンセンシリーズのレシピ本とか刊行されないだろうか。
2〜3冊くらいの分量になってると思うし。
料理の写真が見たいんだ…!

話を戻そう。
今回の話は、クリスマスが舞台なんで、アメリカの片田舎のクリスマスの雰囲気も味わえます。
ハンナシリーズの好きなとこの一つは、こういうイベントをきちっと雰囲気を出して書いてくれるとこ。
楽しそうなんだもの、ホントに。
スウェンセン家も勢揃いで楽しい内容でした。

以下はネタバレ。

ファッジカップケーキは怒っている 

December 20 [Tue], 2005, 0:12
ジョアン・フルークのハンナシリーズの日本での最新作(「シュガークッキーは凍えている」)が刊行されたので、今日はその一つ前の巻の「ファッジカップケーキは怒っている」について。

「ファッジカップケーキは怒っている」は、(まだ「シュガークッキーが凍えている」は読んでないものの)ハンナシリーズの中でも秀逸。
犯人が誰か、クライマックスに来るまでわからなかったです。
前作とか、すぐに犯人がわかっちゃってたんで、やっぱり、コージーミステリーは難しいんだなぁ、とか思ってたんですが、この巻を読んで、いやいやまだまだ、ハンナシリーズは終わらない!的なことに考えが変わりました。

今回の話は、アンドリアの夫、ビルが容疑者にされてしまいます。
そのために、ハンナはマイクに怒りを覚えて、距離を置いたり。
ノーマンは出張でレイク・エデンを離れていて、側にいてくれない上に、側には元彼女だとかいう、同僚がいるみたいだし。
しかも、アンドリアやドロレスにまでけしかけられて。
モシェもダイエットフードを口にせず、ハンストを決め込んで。
料理本の編集もしないとで、ハンナはますます大忙しです。
まあ、暇なハンナって想像できないけどね(笑)

季節はハロウィーンなので、アメリカのハロウィーンの雰囲気も味わえます。
やっぱり、アメリカは仮装も本格的ですねー。レイク・エデン全部はハロウィーンに染まるんだもの。
車も店も飾りつけられちゃう。
リサの仮装は必見です。絶対、可愛い。

そして、今回も豊富なレシピ!
『ホールインワン』という、お菓子ではありませんが、家でも気軽に作れるレシピも載ってます。

以下はネタバレ。

ポンド氏の逆説 

December 12 [Mon], 2005, 10:11
G・K・チェスタトンと言えば、「ブラウン神父」シリーズの方が有名ですが、今日は「ポンド氏の逆説」をば。

日本で刊行されてた、チェスタトンの作品って、一時、絶版になってたことがあるんですよね。
「ブラウン神父」シリーズは創元も出してたんですが、「ポンド氏の逆説」、「木曜の男」と「奇商クラブ」は絶版になってたんですよ。
もったいない。
でも、数年前に創元が復刊キャンペーンだったか、何だったかで、絶版になっていた作品を復刊してくれまして。
手に入れやすくなりましたv
……まあ、Amazonやミステリー専門店くらいでの話だけどね(苦笑)
一般的な本屋だと「ブラウン神父」シリーズくらいです、手に入るのは。
池袋のジュンク堂とか、大きな本屋まで行けば、けっこう手に入るとは思いますが。
あとは、哲学系統の話だったら、置いてあるかも。

ドイル然り、セイヤーズ然り。
古典と言われる推理小説を書いた作家って、推理小説は食べるための手段で、本当に書きたいものじゃないって作家が多いように思うんですが、チェスタトンも例外じゃないですよね。
ドイルが歴史物が書きたくて、煩わしくなったホームズを殺したのは有名。
チェスタトンも哲学や宗教が書きたかったみたいだし。

で、肝心の「ポンド氏の逆説」なんですが、チェスタトンの醍醐味を味わえます。
逆説を巧みに操る推理小説。それがチェスタトンの作品の特徴だと思うんですが、全短篇が逆説を扱っているんですよ。
よくもまあここまで考え付くものだなぁ、と。

「死刑執行停止令を携えた伝令が途中で死んだので囚人が釈放された」
「背が高すぎるために目だたない」
このフレーズに興味を持った方は一読あれ。

以下はネタバレ。

殺人交叉点 

December 06 [Tue], 2005, 8:58
小説だからこそ味わえる話ってあるじゃないですか。
今のところ、私的に文章だからこそのミステリーだと思っている小説が二冊あるんですが、一つはクリスティの「アクロイド殺し」。
そして、もう一つが、「殺人交叉点」です。
72年の本改稿版でフランス・ミステリ批評家賞を受賞した作品。
フランス語が読める方は、原書で読んで欲しいです。
……私もフランス語が読めたらな。
でも、翻訳も秀逸だと思います。(というか、日本じゃ原書は手に入れにくいんじゃなかろかと)
にしても、フランスのミステリーってあんまり日本じゃ紹介されてないよね。
斯く言う私もシメノン(「メグレ警部」シリーズなど)とルヴラン(「アルセーヌ・ルパン」シリーズなど)くらいしか読んだことないんですが…。
ガストン・ルルーも「オペラ座の怪人」を映画で見たことがあるくらいだからなぁ。

ラストまで読み切ったとき、「?!」となりました。
いや、もう、ホント、そんな感じ。
ここまであっと驚いたのは、初めてです。
「アクロイド殺し」は『フェアかアンフェアか』という前知識があったので、ラストの驚きが軽減されちゃったんで…。
何度も読み返してる小説です。
そして、読み返すたびに新鮮。
言葉ってすごいな、と思います。
こんな話が書いてみたい。
同時収録の「連鎖反応」も面白かったです。
ブラックユーモアの効いている話で、ラストはそう来たか…!と。
この人の話、もっと読みたいなぁ…。

以下はネタバレですが、その前にこの小説を読む上で気を付けて欲しいことを。
「殺人交叉点」と「連鎖反応」の間に「著者の覚え書き」があるんですが、これは読んじゃだめですよー。
作者がネタバレ書いてるので。

ウッドストック行最終バス 

December 02 [Fri], 2005, 0:35
今日は、昨日読み終わったばっかりのコリン・デクスターのモース警部シリーズ一作目、「ウッドストック行最終バス」を。
クリスティはメアリ・ウェストマコット名義のうち4冊を残して全部読んじゃったし、セイヤーズも大体、読んでしまったし。ジョアン・フルークも出てるものは読み終わっちゃったし、ってことで、読んだことのない作家を読もうと思って、手を出したのが、コリン・デクスター。
男性作家の作品ってあんまり読んだことなかったっけ…?とか思ったんだけど、よく考えたら、チェスタトンもルブランもドイルも男性だよ。
別に関係なく読んでたな…。

「ウッドストック行最終バス」には、訳者のコメントも載ってるんですが、納得しました。
コリン・デクスターの推理小説は長編小説でこそ生かされるんだということ。
まだ「ウッドストック」しか読んでませんが、なるほどなぁ、と。
今まで読んだきた推理小説とは異なった趣をしていると思います。
一回、読んだだけだとちょっとわかりづらいというか、何というか、ちゃんとモースの論理と考えの行方を追っていきたいと思うので、しばらくしたら、再読したいなと思いました。

以下はネタバレ

チョコチップクッキーは見ていた 

November 26 [Sat], 2005, 0:15
リンクも貼らせて頂いたことだし、ということで、今日は現代作家の作品をば。
ジョアン・フルークの「チョコチップクッキーは見ていた」です。
ヴィレッジブックスから翻訳本が出版されていまして、日本では五作目の「ファッジカップケーキは怒っている」まで出版されてます。
コージーミステリーで、素人探偵物。
私、素人探偵物って、どうにも都合が良すぎて、推理小説としてはあまり楽しめないんですが、これは楽しめました。
あっと言わせられるようなトリックがあるわけではありませんが、ストーリー、そして、何より、キャラクターが生きてるので、楽しく読めます。
どのキャラも魅力的なんですよ。
ハンナのボーイフレンドであるノーマンに、マイク。
妹のアンドリアとミシェルに、母親のドロレス。
クッキー・ジャーの店員、リサ。
おっと、忘れちゃいけない、猫のモシェ。
この猫が何ともいいアクセントを加えてくれています。

ハンナシリーズは、読んでいると、お腹がなりそうになります(笑)
主人公で探偵役のハンナ・スウェンセンはお菓子探偵なのです!
ハンナはクッキー・ジャーというお店を経営していて、それはそれは美味しそうなクッキーを作中でいくつも作っています。
しかも、このレシピが作品の中に載ってるんで、もう作りたくなっちゃうわけです。
ただ、如何せん、このレシピ。
分量がハンナが店で作ってるような量になっているようなので、10ダースぐらいの分量で載ってるんですよ。
作るときは、計算し直さないと、えらいことになりそうです(苦笑)
「ステラおばさんのクッキー」とかで売ってないかな…。

以下、「チョコチップクッキーは見ていた」のネタバレ

蒼ざめた馬 

November 23 [Wed], 2005, 14:52
一本目の紹介は何がいいかな、と考えまして。
アガサ・クリスティーの作品の中でも、印象に残っている「蒼ざめた馬」を選びました。
なんとなく、タイムリーな気がしなくもない。
クリスティー作品は知ってる方も多いかと思いますが。

クリスティーといえば、エルキュール・ポアロやミス・マープルといったシリーズが浮かぶと思いますが、この「蒼ざめた馬」はノンシリーズものになります。
クリスティーを読み始めたのは、中学のころなんですが、最初は、ポアロしか読んでなかったんですよね、私。
ミス・マープルも単調な気がして読んでなかった、若いころ(苦笑)
クリスティーの作品を何でも読み始めたのは、高校入ってからです。
この「蒼ざめた馬」を読んだのは、多分、大学の…1年だか、2年だか、確か、そのくらい。だと思う。
「蒼ざめた馬」を読み終わったときの感想は一言、「面白かった!」でした。
もう数回、読み返してますが、何度読み返しても面白いです。
何で今まで読んでこなかったかなぁ、と悔しくなりましたもの。
「蒼ざめた馬」には、オカルトが絡んできます。
クリスティーとオカルトってそう珍しくもないんですよね。
短篇にはよく出てきます。「死の猟犬」なんかもそうかな…。
長編だったら、「終わりなき夜に生まれつく」なんかもそうですかね。
これはジプシーが絡んでくるんですが、またの機会に。
今日は「蒼ざめた馬」で書きますよ、っと。
以下、ネタバレになります。