闘病記録〜後編〜

December 21 [Wed], 2011, 0:31
さらにその1週間後。

2011年9月8日夜

teaが吐いた。

元気も食欲もなくなり、とにかく回数多く吐いた。

よく見ると、また黄疸が出ている。

白目の部分が若干黄色くなっている。

明らかに、また、肝不全を起こしている。

翌朝、職場の病院に連れて行った。


2011年9月9日

採血し、検査センターへ依頼するのと平行してすぐに点滴治療開始。

中毒は疑わなかった。

上腹部を圧迫した際に、少し痛がった。

超音波検査をした。

肝臓の横に、小児手拳大(子供の拳ほどの大きさ)の塊があった。

teaを襲っていた病気が分かった。


胆嚢粘液嚢腫


肝臓から分泌された胆汁を貯蔵する器官、胆嚢に、何らかの原因で胆汁が泥状になり溜まる病気。

teaの場合は胆嚢から十二指腸へつながる胆管が閉塞している可能性もあった。

これが、teaの肝不全の原因だった。


すぐに手術の準備に取り掛かった。

胆嚢を、破裂する前に摘出する必要があった。

胆汁が、胆泥が、腹腔内に出てしまったら、腹膜炎を起こして手遅れになってしまう可能性があった。

teaが死んじゃう。

いつもどおりの慣れた手順で準備を進める手は、少し震えていた。

薬で嘔吐は止まっているが、かなりしんどそうなtea。

肝不全を起こした状態での麻酔はかなりの危険が伴う。

最悪、術中死。

麻酔から覚めない可能性もある。

不思議と涙は少しも滲まなかった。



2011年9月9日昼12時

手術開始。

正中切開は剣状突起からおヘソの下まで最大限に。

お腹を開けて飛び込んできた光景に、言葉を失った。

浅黒い塊が、鎮座していた。

大きくなってしまった胆嚢だったが、破裂はしていないようだった。

しかし、術野が足りない。

正中切開中央付近から、右へ15cmほど横切開した。

初めて見る横切開は、怖かった。

腹筋を切断するから、術後の痛みは相当なものになるだろう。


胆嚢を破らないように丁寧に肝臓および横隔膜から剥離していく先生。

肝臓の表面から出血する。

それもそのはず、肝臓は血液貯蔵タンクと呼ばれるほど血液を溜め込んでいる臓器なのだ。

それでも手を止めるわけにはいかない。

剥離し終えた時点で、最悪の事態が起こった。


胆嚢が、破れた。


先生のグローブに、腹腔内の臓器や腹壁に、胆泥が付着する。

破れた胆嚢から胆泥があふれ出す。

どれだけ丁寧に扱っても、胆嚢はそれすら耐えられないほどに脆弱になっていた。

できるだけ胆泥をこぼさないようにガーゼで胆嚢を囲い、嚢盆に取り出す。

それでも腹腔内のあちこちに、大小の真っ黒な胆泥が付着する。

胆管の開通を確認し、必要箇所を結紮、縫合し、閉腹前に生理食塩水で何度も何度も腹腔内洗浄をした。

祈る気持ちで、閉腹した。



teaは術中、心拍数も血中酸素濃度も安定していた。

しかし、出血量が心配だった。

肝臓からの出血が多く、小さな動物病院であるここには輸血用の犬なんていない。

術中、teaの手を握り、ずっとずっと心の中で励まし続けた。

teaには聞こえていただろうか。

涙を必死に堪えていたこと、teaは知らない。



吸入麻酔を切っても、なかなか意識が戻らないtea。

そのうちに、嘔吐の蠕動運動が始まった。

麻酔から覚めきっていない状態での嘔吐は極めて危険であった。

気道に吐物が詰まって、窒息死する可能性が高いのだ。

teaが死んじゃう。

このときが、一番強い不安に駆られた。

先生が必死になって喉から吐物をかき出した。

なんとか、呼吸が落ち着いた。

手術の片付けに、全く身が入らなかった。


麻酔を切って30分、ようやくteaが頭を持ち上げた。

なんとか戻ってきてくれた。

しかし、まだまだ安心できない。

極度の貧血、腹膜炎、命を脅かす要素はいくつも残っている。

山だと言われたこの日の夜は、入院室で、teaの隣で一夜を過ごした。

うつろな目、力の入らない体、痛む傷口、teaにとっては地獄の一夜だっただろう。

ごめんね。

早くに気づいてあげられなくてごめんね。

何度もteaに謝った。

そして励まし続けた。



2011年9月10日

一夜を乗り切った。

しかし山を越えたとは言えないほどに、未だ目はうつろだった。

傷の痛みは相当なもののようで、眠ろうにも眠れないtea。

横倒しにも、伏せにもなれない、それほどあらゆる動作に激痛を伴っているようだった。

立ち上がろうにも踏ん張れない、滑る足。

それでも何とか匍匐前進状態で移動するtea。

診察時間中も、患者が途切れれば常にteaに付き添った。

なにをしてあげることもできない、励ますことしかできない自分の無力さ、無責任さが腹立たしかった。

この日の夜は、容態が急変することは考えにくいということで一度家に帰ることになった。

夜9時、少し輝きを取り戻しつつあるteaの視線を尻目に、家に帰った。

眠れないかと思ったけど、私の神経は図太いようで、しっかり熟睡してしまった。


2011年9月11日

朝8時に病院に来た。

今日は日曜日で病院はお休み。

一日中teaの隣にいるべく、マットを完備した。

相変わらず傷の痛みが続いているものの、立ち上がれるようになった。

目の輝きもかなり出てきた。

傷を舐めることもしだしたので、エリをつけた。

ごはんを口にするようになった。

夕方には、入院室から歩いて出てこられるようにまでなった。

今日のぎこちない1歩は、まるで生まれたての草食獣のようだった。

まるで、teaの第二の犬生の始まりを暗示しているような、そんな気がした。

このまま元気になって欲しい。

また一緒に散歩行こう。

また一緒にボール遊びしよう。

また一緒にアジリティーしよう。

そんな私の気持ちに応えるように、次の日の夕方にはオモチャを追いかけるまでになっていた。



2011年9月13日

順調に回復してきたtea。

この日、血液検査にてかなり数値が落ち着いてきたことと、術後から吐いていないこと、食事ができるようになり、歩けるようになったことから、夜に退院することができた。

エリで行動が制限されるのが気の毒だと思い、特製の腹当てを作った。

それを着せて、エリをとってやると、開放感で足取りがさらに軽くなった。

私の気持ちも軽くなった。





その後

傷の痛みは術後1週間強ほどで治まってきたようだった。

肝不全だったために、傷の治りは遅かった。

特に正中切開と横切開が交差する部分は負荷が大きく、何度か傷が開いた。

それでも徐々に、ジクジクしてた傷が乾燥してきた。

最終的に抜糸が完了したのは、術後1ヶ月半が経った10月の終わり頃だった。

その頃にはteaの動きが術前以上の活発さになっていた。

アジリティーでは、私がついていけないほどに早く走れるようになった。

ハードルもほとんど避けなくなった。

Aフレームをひとりで難無く駆け上がれるようになった。

これが本来のあるべきteaの姿なのだと、このとき初めて理解した。

術前までのteaの様子を思い出して、悔しい気持ちが何度も込み上げる。

胆嚢粘液嚢腫は、甲状腺機能低下症による合併症である可能性が高い。

甲状腺機能低下症を疑う余地は多分にあった。

なぜもっと早くに検査をしなかったのか。

なぜもっと早くに投薬を開始してあげられなかったのか。

そしたらあんな命懸けの、地獄のような辛い思いをさせないで済んだはずなのに。


それでもteaはがんばって耐えてくれた。

乗り越えてくれた。

今でも相変わらず、ベッタリ甘えてきてくれる。

もう二度と、あんな辛い思いはさせない。

些細な変化も見逃さない。

teaがいつだって幸せで笑っていられるように、頑張るからね。



teaは最近、毛量が増えてきた。

手術のために剃ったお腹をはじめ、腕や肩のあたりの毛もものすごく触り心地が良い。

おそらく、甲状腺機能低下症の影響でなくなっていたアンダーコートが生えてきたのだと思う。

これから一生、チラーヂンSの服用が欠かせなくなったけど、teaは薬も嫌いじゃない。

食事と一緒に食べてしまうので、飲むことにストレスはない。

teaがいつまでも元気でいてくれる事だけが、私の願い。


大好きなtea。

まだまだ長いこれからの犬生、楽しく幸せに過ごそうね。



長々とお付き合いくださいまして ありがとうございました。

teaはいま、絶好調です
  • URL:http://yaplog.jp/ag-life/archive/992
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>HENRIさん

今は元気すぎるくらいw
毛並みもフワフワだし、絶好調d(・∀・)
アジリティーがますます楽しいよ>v<♪
January 07 [Sat], 2012, 11:01
…teaが、こんな事になってたなんて(T^T)もう今は大丈夫なん??
teaもやけど、縣もよく乗り越えたよね…お疲れ様!!これからは、アジで軽快な走りが見れるんやね(o^−^o)
January 07 [Sat], 2012, 8:40
P R
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