更新履歴

April 01 [Sat], 2006, 0:00
08/01/14:カテゴリに“scrap”追加
        L花煙る
         その他、いくつかをscrapに移動しました。
08/01/22:はじめに
        Lリンクについて。バナーを追加しました。
08/01/28:scrap
        Lkujira
08/02/01:おとぎばなし
        Lガラスの靴林檎ノ色
08/02/20:みつけたらおしえてください。不備だらけだと思うので。
08/02/25:おいしいお菓子をつくりましょう10のお題
        L卵
08/02/26:おいしいお菓子をつくりましょう10のお題
        L卵(2)
08/03/14:scrap
        Lはらがへる
08/04/23:御伽日記
        Lシンデレラに誘われ食事にゆく
08/04/24:御伽日記
        L浦島太郎さんの家に遊びにいく
08/04/25:御伽日記
        Lウサギとカメのレースを見学
08/04/26:御伽日記
        L鶴の手芸屋オープン
08/04/27:御伽日記
        Lピノッキオのあやつり人形劇
08/04/28:御伽日記
        Lカエルの運命の人
08/04/29:御伽日記
        Lあかずきんが行方不明に
08/05/11:御伽日記
        L旅は道連れ
         犬も道連れ
08/05/12:御伽日記
        L猿も道連れ


はじめに

April 01 [Sat], 2006, 0:01
はじめまして、こんにちは。

acf(このタイトルは当時お世話になった方々へのささやかな感謝を込めています)は好き放題に創作物を転がしているだけのブログです。
しかもあまり更新されないという体たらくぶり。
とりたてて制限などはありませんが、わたくし非常に小心者ですので、できたら優しくして下さい。
またacfはわたくしとあなたの間にある信頼の上で成り立っています。
“そのようなものはない”と思われる方はさようなら。
またどこかでお会いしましょう。






+自己紹介+

 名前:黒埼
 性格:典型的な射手座気質

+リンクについて+

フリーですが、ご報告いただければ喜んでご挨拶に伺います。

 ブログ名:acf
 管理人:黒埼
 アドレス:http://yaplog.jp/acf/
 

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極めて消極的に参加中。


ショートショートブログランキング

ぱんどら(1)

May 24 [Wed], 2006, 17:07
上唇についたカプチーノの泡を舐めとって窓の外の世界を眺める。
向かいのいかにもお洒落な宝石店に若いカップルが二人仲良く腕を組んで入っていった。
この苦い気持ちはなにかしら、向かい側に座った男の方に視線をやれば彼はテーブルの隅に置かれた調味料の蓋を片っ端から開けてその中身を確かめている。
「それ楽しい?」
どこか小馬鹿にしたような私の問いに一瞬きょとんとした顔をして彼は手にしていた緑色の粉チーズの蓋を閉じて脇に追いやると、自分のカップを持ち上げた。
「楽しいからやっているというよりはなんだか落ち着かなくてかな」
一口飲んで苦笑しながらそう答える。別に初めてのデートでもあるまいし。
「トイレなら遠慮なく行けばいいのに」
「うわぁ最悪」
わざと目を細めれば彼は呆れたように肩を竦めてそれでも愉快そうに笑っていた。
なんだなんだ。こいつは私と違って随分幸せそうじゃないか。
俯いて彼にわからないように微苦笑してから私はもう一度窓の外に目をやる。憂鬱だ。
「・・・電気屋にでも行こうか」
彼の提案は(誰がいつそう決めたのか)“機械に弱い”といわれる女を誘うには適当な場所とは言えなかったが、とにかくそれは私をまた彼の前に引き戻し、私の気分をさらに重くした。
しかし、特に反対する理由も見つからず、またまさかここから見えるあの場所へ行こうなどと言えるわけもなかったので私は特に考えもせずに素直に頷いた。

05/05/20

ぱんどら(2)

May 24 [Wed], 2006, 17:17
どうして最近の電気屋はどれもこれも大きくて喧しく馬鹿みたいに明るいのだろう。
何故か中学時代を思い出して思案する。ああ、あの頃の男というのはみんなこんな感じだった。
あの頃は楽しかった気がする。当然のように当時付き合っていた大きく喧しく馬鹿みたいに明るい男と結婚するのだと信じて疑わなかった幼い私。今私の隣にいる男もそうだったのだろうか。
「ねぇ、自分が中学生だった時のことって覚えてる?」
私の質問に視線だけ合わせて彼は何も答えなかった。
ただ私の言葉の真意を探ろうとするように深い双黒が私の揺れる瞳の奥をじっとのぞいている。
急に人の過去を暴こうとする自分の行為が恥ずかしいもののように思えて、またそれを悟られたくなくて私は慌てて目を逸らす。
そのまま気まずい気持ちで黙り込んでいるといつの間にか冷蔵庫売り場の前まで連れてこられていた。
パールの入った四角い箱がまるでどこかの遺跡のように規則正しく並んでいる。
「こうやって――」
冷蔵庫の縁に手をかけて彼はゆっくりとそのドアを開いた。
「冷蔵庫を開けるのが好きでね」
中を確かめるように見てからパタンと音をたてて扉を閉じる。
そして次の箱へ。
「たまに何か入ってるんだよ。・・・あ、ほら」
そう言って少し腰を折った彼は下の引出しからビニルでできたレタスを取り出して笑った。
「これを見つけるのが楽しい」
次から次へと開けられる冷蔵庫からまるで手品のようにいろいろなものを出しては得意そうに笑うので私もついつられて笑ってしまった。

05/05/20

ぱんどら(3)

May 24 [Wed], 2006, 17:20
「やっぱりああいうの好きなんじゃない」
「なに?」
「蓋開けるの。面白いんでしょ?」
店の入り口付近に置かれた自販機で缶コーヒーを買って備え付けのベンチに二人して腰掛けた。
散々商品で遊んでおいて何も買わないことになんとなく後ろめたさを感じたせいで購入した電池いらずの懐中電灯980円の入った袋が足元に鎮座している。これで災害時にも万全だ。
たまに店内へ出入りする人をのぞけばそこにいるのは私たち二人きりだった。
「さっき中学の時がどうのって話をしただろ?」
「ああ、うん」
曖昧に返事をする私を気にせず彼は話し出す。
私はそれに黙って耳を傾けた。
「その頃からっていうよりそれよりずっと前からなんだけど、やっぱり好きでさ。ゲタ箱がこうずらっと並んでるだろ?」
彼はまるでそこにその光景が広がっているかのように遠くを見つめながら言葉に合わせて手を緩い放物線を描くように大きく動かす。
「その蓋をさ、生徒番号順に開けていったわけさ。ゲタ箱だから靴が入ってるのが当然なんだけどたまに野球ボールとかぐちゃぐちゃに丸めたテストとかが入っててね。で、ある日の放課後いつものようにそれをやろうとしたら隣のクラスの女のコと鉢合わせた。そのコはいつも俺がやっているのと同じ風にゲタ箱の蓋を開けて中をのぞいてたんだ」
「自分のだったんじゃないの?」
私の当然の疑問に彼は首を振る。
「いいや、俺も自分のゲタ箱の場所くらいわかるよ」
よくわからなかった。何故そのコは彼のゲタ箱をのぞいていたのか。どうして彼はそれからゲタ箱を開けるのをやめたのか。

05/05/20

ぱんどら(4)

May 24 [Wed], 2006, 17:28
「あんまり言いたくないなぁ……」
「気になるじゃない」
そう言って口を噤む彼の目をじっと見つめて先を促す。
ついさっき、彼の過去を暴こうとしたことに罪悪感を覚えたばかりだというのに。
しばらくして諦めたようにひとつ溜息をついてから彼は短く続きを話した。
「自分がされて初めてあんまり気持ちの良いもんじゃないなぁって思ったんだよ。だから今日は久しぶりに楽しかった」
最後の言葉は聞こえていなかった。最初の言葉にドキリとさせられたから。
しかし彼が話しているのは私のことではなくその彼女が彼のゲタ箱をのぞいていたことに関してのことだ。無視をする。
「画鋲でも入れられたの?」
「まさか。ああ、もう全然こんな話する予定なかったんだけどなぁ」
私の穏やかではない説を一笑してそれから困ったように頭を掻いた。
「ところで――」
かと思えば今度は突然話題を変える接続詞を口にし始める。
「今日は箱を開ける魅力をわかっていただけただろうか」
やけに改まったお堅い芝居がかった口調、それでもなんとなく笑う雰囲気ではないことを悟って戸惑いながら頷く。
すると彼は満足したように自分も頷いて右手を私の前にすっと差し出した。
「それじゃあこの箱開けてみませんか?」
彼の手の平には小さくて青い箱がのっていて―――
「喜んで」
―――私もこの目の前にいる男の二の舞になるのだろうかと先の楽しみを想像した。

05/05/20

そして世界は綻んだ。

May 24 [Wed], 2006, 17:52
深夜の国道を不安なエンジン音を響かせながらワインレッドのオンボロ車が我が物顔で走っている。
開け放した窓から吹き込む風は光の灯った闇の色で私の結わえきれなかった髪の毛をなびかせていた。
「君のために貸し切ったよ」と愚かな嘘を簡単に吐く彼に嬉しいと微笑んで、私は歩道に咲く小さな花に手がとどきはしないだろうかと考えていた。
たとえるなら、天気予報と同じ。
最初から信用などしていないからどんな嘘を吐かれても腹も立たない。
遠くから聞こえるエンジン音。
ブォーンでもダダダダでもない。
ワインレッドのオンボロ車よりはかなりマシ。
大型の深夜トラックが彼の横を通りすぎる。
「おかしいな」おかしいなと彼は呟いた。
「何か手違いがあったのかもしれない」
この一直線にのびた国道はその昔、滑走路として整備されたものだときいた。
ここからたくさんの心優しい嘘つきが赤い炎と血の中へ銀色に光る鉛玉となって飛んでゆくはずだったのだ。
私は目を閉じ、そして想像した。
傷だらけの車体、凹んだボディの左右から同じ色の翼がにょきにょきと生えてくる。
すり減ったタイヤは寿命の近いエンジンにムチを打ち加速して、新しい風は両翼を浮かせそのまま闇空へと連れ去ってゆく。
私は知らず知らずのうちにハンドルを握る彼の手に自分の手を重ねていた。
親指をぐっとのばしてクラクションを長く長く響かせる。白いけぶり。合図。
驚きの声を上げた彼に微笑みかけて私は尖ったヒールの先で彼のスニーカーの上から強く強くアクセルを踏み込んだ。
いつかすれ違ったトラックのように、私たちはそうして目的地を目指すのだ。

05/06/21

洋服のリボンがうまく結べません。

May 24 [Wed], 2006, 18:09
女王の棺がなくなった。
荒れ狂う城は蜘蛛の上。
輝く糸は冷たい大雨<ヒサメ>。
辻馬車の車輪がカラカラと。
石のレンガを削り落として明日の天気を占い呪う。
『女王の棺を知りませんか』と訊いた仔猫を拾い上げ、撫でた男は囁いた。
『女王の棺はわたしの家<ウチ>に。白い献花に囲まれた、小さな部屋にあるのです』
聞いた仔猫はヒゲを揺らして瞳を細め短く鳴いた。
『pourquoi?』
男は応える、正直に。
『何故ならそれが約束だから』

細かい細工のドレスを着てた綺麗な王女の紅玉はこっそり誰かが持っていき、行方は知れずわからない。
市場を歩く男と仔猫。
向かう先には女王の棺。
行き交う兵士をやり過ごし、二つの影はゆっくりと女王の棺のある家に。
『どうぞ、お入りください』と微笑む男に促され、仔猫は小さな小窓からヒラリと部屋に降り立って、それに続いて軽々と男も部屋に降り立った。
床に散らばる薔薇と菊。白い花弁は微かに劣化し、それでも佳芳は消え去りぬ。
『これはこれは女王さま、お初にお目にかかります。わたしは名も無き愚かな仔猫。お会いできて至極光栄』
恭しい挨拶と忠誠のキスを女王の右手に落とした仔猫は冷たい女王に頬ずりするとくるりと回って頭<コウベ>を垂れた。
『美しい人、アレニエは王女の地位を捨てました』
小さな小さな呟きに仔猫は男を振り返る。
『たった一度の手紙には“私が死んだら連れて逃げて”と哀しい言葉が一行ぽっきり。それからしばらく経ったとき、彼女は小さな毒蜘蛛にその身を噛ませて死にました』
静かに静かに横たわる女王の小さな亡骸に男は身を寄せ涙をこぼす。
『わたしは誰にも話さない。彼女の遺体が灰になるまでお前と彼女は二人きり、無限の刻<トキ>を過ごせばいいさ』
それから男は紅玉を仔猫の首に巻きつけて後姿を見送りました。

05/07/30

毎年恒例、合唱部(部員5名)スイカ割り大会。

May 24 [Wed], 2006, 18:15
値段の割に小ぶりなスイカの入ったビニール袋の持ち手(片方ずつ)をそれぞれぶら下げて僕らは焼けつくアスファルトの道を歩いていた。
近所の衣料品店で買った安物のビーチサンダルが熱を吸収してなんだか足の裏が痒い気がする。
今年の夏はなんて猛暑なのだろう。
白いTシャツが汗を吸って肌を透かす。
纏わりつくようなそれから、少しでも逃れようとシャツの胸元をつまんでニ、三度ひっぱった僕に、彼女は可愛らしいタオルを手渡して汗を拭くよう促した。
「風邪ひくよ?」
僕は少し戸惑いながらも素直に従って額や首筋から流れ落ちる汗を拭った。
彼女は満足そうにそれを見届けて、タオルは返さなくていいよと言った。
やっぱり他人が汗を拭いたものを再び使うというのはたとえ洗濯したあとでも気持ちがいいものではないのだろう。
やはり彼女の親切を断って服の袖ででも拭いておけばよかった。
そんな気持ちが顔に出ていたのだろうか、彼女はそれを勘違いして「やっぱり男の子に仔猫のタオルなんておかしいよね」と少し困ったふうに言ったので、僕はそんなことないよと答えてズボンのポケットにタオルを捻じ込んでビニール袋の持ち手を握りなおした。
空には大きな入道雲。
二人の間にはもうすっかりぬるくなってしまっただろうスイカ。
けれどもそれが間接的に手をつないでいるようだと思ったら、なんだか途端に恥ずかしくなった。
それでも顔が熱いのは、今年の猛暑のせいだ。
暑いと呟く彼女の横顔をちらりと盗み見て、今度ネコ柄のタオルの代わりに何か贈ろうと、僕は密かに考えるのだった。

04/08/08

獅子頭

May 24 [Wed], 2006, 19:27
雪が降る。君の幻影が現れる。
白いサイコロ。吹雪く灰色。
獅子頭の花点々と。
辿り着く先には君。
青白い四肢をだらりと投げ出して倒れている姿は氷。
どうせなら生きている君を見たいのに、雪はいつだって君の最期を見せるから僕は君へと続く花を拾い集めて君に手向ける。
冷たい地面に跪いて涙をこぼせば僅かでも雪は溶けるけれども、だからといって春は来ず。
そしてまた君が目覚めることもない。
君が僕に残したであろう言葉も新しい雪が消してしまった。
雪が降る。君の幻影が現れる。
白いサイコロ。吹雪く灰色。
獅子頭の花点々と。

05/12/12
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