1章 ー 2 

July 13 [Sun], 2008, 0:06
出立の朝は、彼の旅立ちを祝うかのように綺麗に晴れていた。
三白眼気味の黄色い瞳を空へ向けると、青空に白い蜘蛛がぷかりぷかりと浮いていて、この世は太平だとでも言わんばかりである。
伸びでもしたい所だがそんなことをしている暇はない。
まずは一路、東へ向かった所にある古城を目指さなければならなかった。

「ここから半日、東へ向かいますと、橋がありまして、そこを渡るとすぐ、深い森が御座います。
 私めの記憶違いさえ無ければ、まっすぐに道が作られていて、それを抜ければお父上のかつての同志、ヴァンパイアのバースイング卿のお城がお有りのはずです」

翁の言葉が頭の中をぱっと駆けて行った。

ヴァンパイア。
父の天下統一の道が、まだ駆け出しだった頃から父の味方をした、聡明で誇り高い種族だと言う。
中でもバースイング卿はかつて父の片腕として参謀を務めて居り、その才、そして謀は敵味方誰もを唸らせるような物だった、と育ての親から聞き飽きるほど聞かされた物である。



ーーと、そんなことを考えながら歩を運んでいくと、昼の太陽が照りだす頃には橋が見えてきた。
半日、と言った翁の言葉は正しく、それから暫く歩けば(ゲッコウヤグラのスピードもあってのことだろうが)スギクは橋を渡り終え、そこからすぐ広大に広がっている森と向かい合っていた。
森は、鳥の声、時たま風邪が木の葉を揺らすざわめきが聞こえるほどの静けさを持ち、それでいて、あと十数年したらあの橋も飲み込んでしまいそうだと思わせる生命力も持っているように感じられ、
万が一の為に、とあまり外へ出してもらうことの無かったスギクにとってはとても新鮮な物だった。

「この森を抜ければ、」

一人目の同志に出会えるはず。
翁の言った「まっすぐの道」というのは、18年の歳月によって半ば獣道と化していたが、それを思えば辛くもない。

そう思って足を森に踏み入れた、その時である。
ピピピピピピ、と今までの人生で聞いたことが無いほどけたたましく甲高い音が響き、驚きにスギクの足は止まった。
この音は何だろうとか何とか考える時間すら与えられず、背後から低音の上にかすれた声がかかる。

「ちょっとお兄さん、勝手に入られると困るんだけどなあ?」

どうやら男性、それも成人しているようだ、と思いながら振り返ると、いつのまにやらそこには三十代辺りの浅黒い肌をした男が立っていた。
首からは号令などに使うような簡素な笛が適当なひもで吊り下がって居り、先ほどの音源はどうやらこれらしい、と判別できる。
が、どうも彼の格好とその笛がマッチしない。
Yシャツの上から黒いスーツを来て、背広の前をばらりと開いた彼の姿は実にダンディ。
しかし・・・笛。

森に監視員が居ることの正当性と、彼の笛に対する意識とTPOもついでに疑いながら、スギクは身長に言葉を発した。

「すまない。許可が必要とは知らなかった」

すると色々疑われている三十路は実にゆったりとした口調で言うのだった。

「いやね、まあ、おじさんに声かけて、ぱぱっと許可証作ってってくれれば構わないんだよ?
 だからね、許可証作ってこう。そうしよう。君、名前は?職業は?」

ーー魔王だ、などとは口が裂けても言えなかった。



彼のテンポに乗せられるまま、橋を戻った所にある彼の番小屋に連れて行かれ、正直に名を名乗り、偽った職業(思いつかないあまりに正義の味方などと言ってみたら大笑いされた)を言い、顔写真を撮られしながら、彼の話を聞くうち、
彼はヒサという名前の森番で、本人曰く「決して怪しい者じゃない」こと、森の道が獣道になったのは、この森は隣国との国境のすぐ近くにあるのだが、その国との貿易が廃れ、人があまり通らなくなった所為で必要性が無くなったからであり、まあ使えないことは無いということ、森番が居るのはそういう訳でたまに通る人をチェックする為であること、を知ることができ、
彼の観察を続けるうち、その、ドレッドを一つに纏めた、こめかみの辺りの分に黒のメッシュが入った薄いブドウ色の髪と、彼が笑うとたまに顔をのぞかせる犬歯から、彼がどうやらハインド種らしいということを察することができた。
ヒサの穏やかな笑顔を見ていると彼がモンスター種であるとはとても思えないが、素早くスキのない身のこなしを目にすると頷けるような気もする。

ーーとまあ、ぼんやり考えを巡らせていると、
インスタントカメラから現れたスギクの真顔が貼付けられた、通行証と書かれた一枚のカードが手渡された。

「はい、終了ー。お疲れ様。
 これで森の中自由に歩いていいけど、道に沿って歩かないと軽く遭難して、おじさんが白骨死体となったスギク君を回収することになるからそこんとこ了承お願いね。」

了承したくなかった。

「ご忠告感謝する。色々ありがとう。また会えたら会おう」

テキパキと世話を焼くこの親切な男に少しだけ微笑みかけると、ヒサはにこ、と笑って応えた。

「ああ、気をつけて。また会おう、スギク君」



スギクが番小屋から出て行くと、彼は、ふう、と一つのため息をついてから、胸元から携帯電話を取り出してどこかへと連絡を始めた。

「・・・あ、もしもし?おじさんだよ、ヒサ。 ・・・うん。とうとう来ちゃったよ。
 名前、スギク君だって。・・・職業?・・・正義の味方」

くす、と彼の口から笑みが零れた。

1章 ー 1 

July 13 [Sun], 2008, 0:04
あの夜ーー前魔王が身を挺してその部下、妻、そして子を守って没した夜から、
18年と3ヶ月の年月が経った。
この18年、魔王の部下たちは各地に散り散りになったままひっそりと暮らして居り、目立たないように他の仲間と連絡を取ることすらしなかった。勿論、前魔王の息子も例外ではなかったのである。
ーーその朝までは。



「それじゃあ、行ってくる。留守は頼んだ」

引き締めた顔でそう告げるゲッコウヤグラ。
彼の名はスギクといい、その少し細い体つき、水色に4本緑色のメッシュが入った後ろだけ腰上くらいまでの髪を持つ、悪い言い方だが、どこでもいそうなその容姿からは想像もつかないが、前魔王の息子にして現魔王である。

「行ってらっしゃいませ、スギク様。
 ・・・本来ならば私めが貴方様の後ろをお守りさせて頂くつとめでありますのに、それすら許されぬこの老体が口惜しくてたまりませぬ」

深々と礼をしたまま頭を上げようとしない老いた育ての親ー元は亡き父の部下だったとかーの肩に手を置くと、スギクは彼に頭を上げるようにと頼んだ。

「いいんだ。母の代わりに俺をこの齢18まで育て上げてくれたこと、感謝している」

彼の頼みに応じて頭を上げた老翁の目を見て、スギクは「だから」と続ける。

「だから、今度は俺が、お前に恩を返す番だ。
 かつての父の仲間を見つけ出し、彼らとともに必ずやこの世に平和を取り戻してみせる」

ーー勇者は、俺が討つ。
それは、翁への恩返しであり、父の仇討ちであり、自分と人々の願い、世界平和の実現でもあるのだった。

確認終了致しました! 

July 12 [Sat], 2008, 23:07
参加表明して頂いた皆様は引き続きご参加いただき、
残念ながら今までの間に表明して頂けなかった皆様は、
取り消し、という訳ではないのですが、
その役は他の方(スカウトにて決めさせて頂きたいと思っています)にお願いしたいと思って居ります。
もし、今までにご連絡いただけなかった方で、今からでも参加表明したい!という方いらっしゃいましたら、別の役柄にはなりますが参加して頂けますので、是非是非お声をおかけいただければ嬉しいです。

それでは、大変長らくお待たせ致しましたが本編の方参ります!
私、いつのまにやら受験生になってしまいました物で、忙しさにかまけて中々更新がおぼつかないやも分かりませんが、どうぞよろしくお願い申し上げます!

再出発 

May 01 [Thu], 2008, 15:56
この一年、亀が色んなものに追いかけ回され、あちこち駆け回っていた所為と、
なかなかこちらまで気を回せなかったバカな頭の所為で、
ずっとずっと更新出来ずに居た当小説ですが、
これより改めてスタートラインに立たせて頂こうと思って居ります。
皆様、沢山沢山お待たせしてしまい、申し訳ありません。
そして、こんな馬鹿な執筆者で申し訳ありません。
こんなんですが、こんなんなりに精一杯勤めさせて頂くつもりですので、
もしもよろしければお付き合いいただければ光栄です。

ただいま、モデルをお願いして居りました方々に
「お願い出来ますでしょうか」といったカキコをさせて頂いて居りますが、
この確認が出来次第、それと、
今までの間にリヴリーをやめてしまわれた方、ギリヴをおやめになった方、
いらっしゃいますので、その方々が抜けられた分と、
「この役欲しい!」と今更ながらに思った役の分と、
お知り合い様方に声をかけさせて頂いてから(要するにスカウトという奴です)
もう一度再出発という形にさせて頂きたいと思って居りますので、
もう少しの時間はかかりますがご了承くだされば光栄です・・・!

それでは、また近いうちに!

序章 

June 21 [Thu], 2007, 22:27
荒い息。血の赤が、水に溶けて消えていく。

「悪く思うな」

男が冷たく言い放つ。手には赤く濡れた剣がある。
彼の見る方向には、倒れ伏す一人の男の姿が在った。

モデル様確認終了! 

June 21 [Thu], 2007, 20:26
こんにちは、お久しぶりです。

合格されたモデル様の確認が終了しましたのでお知らせに参りました!

これより執筆に入ります。


次回更新は「序章」となります。

擬人化小説モデル様結果発表! 

May 27 [Sun], 2007, 13:48
こんにちは、亀。です。

今回やっとやっとで発表です!

さてさて、貴方の我が子さんは入っているでしょうか?

実を言っちゃうとなんだかもう素敵さんばっかで困ってたんですが、

一生懸命無い頭振り絞ってどうにか決定しました。

っていうことで。

恒例のレッツスクロール!(コラ

ここからスクロールスタート・・・











































































































応募総数は43!沢山のご応募ありがとうございました!














































































































これって大分イライラしますよね(判ってるならやるな







































































































ということで結果発表!


まずは味方サイドから。かっこ内は小説内での呼び方です。(敬称略をお許しください)


主人公(魔王)       うろん様の スギク様(スギク)

お付き(ヒロイン)     shiiko様の Rion様(リオン)

古城のヴァンパイア     冬告様の フェイアント様(フェイアント)

人魚姫           春ノ雪様の シャルレーヴ様(シャルレーヴ)

ゴルゴン三姉妹       撞雪様の アクアマリー様(アクアマリー)
              以下該当者無し。

雪の女王          來月様の 祀楓木なぎさ様(なぎさ)

お菓子の家の魔女      ナッピィ様の うるん様(うるん)

魔法使い          ■小瓶■様の ◯菜乃葉◯様(菜乃葉)
              アイガ様の ヴィーアー様(慶喜)

泉の神           伊万里様の トテ様(トテ)
              蒼龍旋風様の ベルトーチカ様(ベルトーチカ)

鉄仮面の囚人        小田桐俊樹様の そひ様(そひ)
              日向真昼様の 919様(キューイチキュー)

怪盗            ライセンス様の クライセル様(クライセル)
              朝灯様の 世希様(世希)
              聞多様の 市様(市)
              來月様の ソウシ様(ソウシ)

続いて敵・勇者サイド。同じくかっこ内は小説内での呼び方です。(敬称略をお許しください)

ハーメルンの笛吹き男    祈兎様の 祈兎様(祈兎)

ヘンゼル          永久破壊者様の 刀枷様(トガ)

グレーテル         幸音様の アラメイ様(アラメイ)

アラジン          該当者無し

ランプの精         こけたよ様の こけたっちょ様(こけたっちょ)




以上です!

ゴルゴン三姉妹が一人と化しているとか、
怪盗が二人から四人へ大幅人数UPしてるとか、
本当に色々ごめんなさい(土下座

この結果は、
・キャラ・見た目が被らないか
・礼儀・書くべきことが書かれているか
・亀の趣味(殴
この三つによってはじき出されました。
どうかご了承くださいませ。

落ちてしまった方々、申し訳ありません。
二次募集もあるのでそのときまた是非とも応募してくださると嬉しいです!

合格された方々、おめでとうございます!
以下のことを下のコメントに書き込んで頂くことで最終確認とさせて頂きますので、お忘れなく書き込んでくださいね。

ーこの線はいらないのですー
飼い主名:
リヴリー名: /view
島名: @

この役で大丈夫でしょうか?:
勝手に他の方と恋愛関係・血縁関係にしてもよろしいですか?:
勝手に過去設定(小説内のみで使います)をつけてもよろしいですか?:
キャラが崩れたり設定が崩れたりしてもよろしいですか?:
お子さんが怪我をしたり死んでしまったりしてもよろしいですか?:
お子さんが裏切ったり殺したりしてしまってもよろしいですか?:
どなたか、特別「この人とくっつけてほしい!」「この人と絡んで欲しい!」という希望はありますか?:
亀の所の子のうち、特別絡んでみたい子はいますか?(いないと思いますがorz:

変わった設定はお有りですか?:
名前の呼び方について、あれでよろしいでしょうか?:

なりきりでご感想をどうぞ!:
飼い主様より一言!:
ーこの線はいらないのですー

ちなみに。
亀の所の子たちは
http://blog.so-net.ne.jp/kame-yukainanakamatachi/
のサイドバーに設定が載っとります、
もしも気になる方・お暇な方がいらっしゃったらどうぞ。
ちなみにこのURLは亀の本家活動場所だったり・・・(ぇ


それでは皆様、沢山のご応募本当にありがとう御座いました!


ただいま審査中!募集は終了致しました。 

May 18 [Fri], 2007, 20:53
こんにちは、お久しぶりな亀にございます。

えーとですね、ここまでで募集を締め切りとさせて頂きたいなぁとか思っとります!

ただいま審査中なのですが、実はすでに90%ほど決まっているので、

あとは自分内最終確認、決定ととんとん進みそうです。

数日のうちに結果を発表出来るのではないかと思って居りますので、

もう少々お待ちくださいな。

それではこれにて!(敬礼

擬人化小説モデル様募集! 

February 11 [Sun], 2007, 15:57
ここは、おとぎ話が形成する世界。
ここには昔、魔王の恐怖が満ち、人々は皆魔王を怖がっていました。
そこへ現れた正義の使徒、勇者。
魔王を見事に打ち倒し、この世に平和が・・・
戻りませんでした。
今度は勇者とその一行が、魔王を倒したという権威で権力を振るい始めたのです。
そして、魔王が倒された陰には彼の死を悲しむ者が居たのです。
彼の妻、そして部下たちでした。
あの魔王だって、彼らにとっては良い夫、良い主君だったのです。
さらには妻のお腹には魔王の息子が居たのでした。

・・・時は経ち。
魔王の息子も立派に大きくなりました。
父である魔王がかつてこの世を苦しめていたことなどつゆ知らず、
現魔王として、敬愛する父の敵を取り、
勇者を倒してこの世に平和を取り戻すことを我が使命と考え、
魔王の息子・・・いえ、今となっては魔王となった彼は旅に出るのでした。
一人のお付きをつれて、まずはじいやに進められた通り、
各地に散らばってしまった父の部下を捜しに。
そして最終的な目的として、勇者を倒すべく。
この訳の判らない世界はいったいどうなってしまうのでしょうか?


・・・どうも、知っている人はこんにちは、知らない人は初めまして。
私、亀でございます。
今回は、これより始まります上記のような小説のモデル様を募集するべくやってきました。
こんな作品でよろしければ、参加してくださる方をお待ちしておりますです。
内容としては
ファンタジー・冒険・ギャグ・シリアス・戦闘ものです。

応募前のご注意。
1.おとぎ話のパロだらけです。が、原作と内容が変わっている場合が多々ありますのでご注意ください。
2.擬人化もの、さらにBLもありですのでお気をつけてくださいませ。
3.擬人化設定がきちんとできていない方、BLが苦手な方、擬人化が苦手な方、荒らしの方、
受からなかったからと荒らしにくるような方はご応募になれません。
4.脳内、サブ、アイテムOK。多数応募もOKですが、全員必ずセットで受かるとは限りませんのでご了承ください。
5.合言葉(平和共存)が書かれていないと合格率は落ちます。ご注意を。
合言葉は一番最後にお書きください。
6.誠に勝手ながら、期間は管理人の都合により延長されて居りますので、
次の記事が立つまで、ということにさせて頂きたいと思います。
以上のことをご了承いただいた方のみご応募くださいな。

募集する役、お書きいただくことなどは続きより。
P R
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擬人化愛の変な亀。変態ですが相手にしないでやってください。
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