“Avalon”と書いて“極上”と読みたい。そんな気持ちにもなります。ロキシー・ミュージックという活動形態でブライアン・フェリーが目指した最終到達点。1982年、ロキシー・ミュージックのラスト・アルバム『
アヴァロン
』。「もうこれ以上は、何もない」の歌詞通り、見事に到達しております。

遂に来ちゃいましたね。僕はもちろん後追いでロキシーの音楽に触れてきたわけですが、律儀にも年代順に丁寧に追ってきましたので、このアルバムを聴く時はいつも感慨深い気持ちになったりします。雑然とした素人の一発芸的なデビュー作から、非の打ち所の無い構築美を誇るこのラスト作までというある意味両極端な音楽的変遷を辿る流れもこれにて大団円。感無量なりです。
このアルバムでいつも凄いなぁと思わされるのは、その“配置の確かさ”なんですよね。ずらりと揃えた腕利きミュージシャン達による演奏を、目指すべきサウンドの全体像を常に念頭に置いてレイアウトしていく。メンバーであるマッケイ&マンザネラのアクのあるプレイでさえ、その構成要素としてこれ以上ないくらい的確に配置されているのには恐れ入ります。フェリーはちゃんとこのふたりの持ち味も、しっかりと理解してたんですね。
そうやって完璧に配置された要素が、奥行きのある極上ミックスを施されてこのアルバムは完成しています。まさに精霊たちの島から漂ってくるような音像にため息。
収録時間は40分に満たないほどでロキシーのアルバムとしては最短ですが、無駄のない構成で微塵の物足りなさも感じさせません。特に前半の流れの素晴らしさったらないですね。「モア・ザン・ディス」、「ザ・スペース・ビトゥイーン」、「インディア」、「アヴァロン」、「マイ・ハート・イズ・スティル・ビーティング」…あまりの素晴らしさに、芸もなく曲名を列挙してしまった(笑)。ただただ身を任せて酔うばかりなのです。
後半はまとまりという点では前半に譲るものの、前作までの延長線上とも思える佳曲が並びます。お得意の(?)AOR歌謡な「ザ・メイン・シング」、「テイク・ア・チャンス・ウィズ・ミー」。やっぱりお得意の幽玄なナンバー「トゥ・ターン・ユー・オン」、「トゥルー・トゥ・ライフ」。この辺は再結成ロキシーの集大成的ムードもありますね。そして最後には楽園から流れてくるような、短めのインスト「タラ」。夢のような時間もこれでおしまい。はぁー、ふぅ、もう1回聴こ。