冬の母娘(おやこ) 

2005年11月22日(火) 17時14分
むきだしの桃は
赤く熟れて
すっかり
冷えています

炊き出しの母は
青くもたれて
すっかり
冷えています

雪降る冬に
憂い帯び
映えるそのコントラスト

アクリル絵の具で
母と娘(こ)の境界は
ぽつかりと塗り重ね
映えるそのトリコロール


だって赤と青じゃ
甚だ似つかわしいじゃない

寒いから今は隣で 

2005年11月21日(月) 16時46分
唇の触れり
赤のうつりて

痛みにようやく
醒め交わす口約

解せん二人へ
攻めん理性

さむからしむる
北風凍むる


花咲きたれば
風も代われ
赤も失せんや
痛み残せど

紅葉 

2005年10月31日(月) 10時15分
白く照り返し
秋の高い空を眺めてる

頬に舞落ちた木の葉の
紅がうすらうつる

このまんま
どこにゆくの
あたしたち

高い空眺めながら
白く照り返す水の面(みなのも)に浮く

いつかは絶たれようが
その日までは
頬に紅のせて

小心ドミノ 

2005年10月27日(木) 18時41分
きれいに同じ距離で、木片を並べている。

今までを台なしにしないように、所々、少し距離を離しておく。



そのまま
きれいなままに
木片は立つ。

距離もそのままに
開けたままに。

いつ倒すとも無しに。

喪失とはすなわち生命の因果 

2005年10月27日(木) 17時52分
小さな窓が見える

くもり硝子越しに
夕焼けに照らされて…

白い壁に手をあてて
恥ずかしさにじっと堪えているのは私だ

思わず高い声で鳴いたら
頬を打たれた

振り返ると
快楽とも憎悪とも判らぬ
あの人の瞳があって…


未だ離れない、あの人の我が儘な瞳。

冬、扉は手動に切り替わる 

2005年10月26日(水) 18時12分
暗い窓硝子が鏡になって
少し距離のある
わざとらしい
貴方と私の肩を写し出す

あとひと駅で
この手袋ともお別れ
寒いと言った私に貴方が貸してくれたモノ


あ 、あ 、


着いてしまう

アナウンスが響く空き箱は二人を乗せて
真っ黒な闇を駆け抜けてく

あ 、あ 、


闇の中ぽつんとある
駅のホームにスピードが落ちていく

立ち上がる貴方はもう振り返らないから
わざと手袋を返さなかった


「返して」って言って

振り返ってよ

それで最後でもいいから


貴方への気持ちも

それで全部済ますから



貴方は振り返らないまま
手動の扉に手をかけた


ねえ、

親不孝 

2005年10月21日(金) 16時29分
夢を見ていたら、
いつのまにか壁があった。

少し頑張れば乗り越えられそうだけど、
背中のリュックが重たいなあ。



かあちゃん

ちょっと手伝ってよ。
僕のお尻を ちょっと
押してくれりゃいいんだ。

とうちゃん

なあ手伝ってくれよ。
僕の踏み台になってくれりゃいいんだ。



必死こいて、
やっと乗り越えて、
前ばかり見た。


かあちゃん

とうちゃん

いつも僕が困るときに現れる。


必要なときに、必要なだけ。

白煙の懐かしさ 

2005年10月21日(金) 16時13分
2度、火花を散らした後、3度目でついた火に震える指先で煙草をあてる。
加奈子は思い出したように浅く息を吸って、それから吐き出した。

懐かしい気持ちが蘇る。

このカフェは古く狭いけれど、座り心地の良いソファと、居心地の良い音楽が、加奈子と祐輔のお気に入りだ。
約束は19時。
あと10分で、祐輔が来る。
加奈子は今度は深く、フィルター越しに吸って、それから吐いた。
流れ出した白煙の向こうに、加奈子は、懐かしい顔を見た。
「あ」と、ソファから、わずかに背を離した。
が、誰もいない。

随分疲れているな、と他人事のように思った。
そして、疲れているはずはないんだけどな、とも思った。

再びソファにもたれて、テーブルの隅に置いた煙草の箱を、加奈子は白煙越しに見た。


賞味期限H16.9


くだらない、と呟いた。


もうとっくに、一年も前に、賞味期限は過ぎていた。
今更、もう懐かしさしか蘇らないと気付いていながら、加奈子は長い針がまだ11にあるのに、店を出た。

後ろから名を呼ぶ声のあるようだったが、バイクのエンジン音で聞こえないふりをして、アクセルを回した。

加奈子は逃げた。


バイクは懐かしい河原へと転がる。

ローファーにハイソックス、紺の制服を着た加奈子は、少し背の高い学生服の少年と、この道を歩いていた。
正志とは高校二年の夏から三年間付き合った。
高卒で広告代理店の営業を始めた正志とは、大学入学後、サークルとバイト中心の日々のなかで、すっかり離れてしまった。

いてのまにか正志は煙草を吸うようになった。

女が煙草を吸うのを嫌う正志への当て付けで、加奈子も吸った。

そしてどちらからともなく別れて、加奈子は煙草を吸うのをやめた。


一年前から大学で知り合った祐輔と一緒に暮らし始めて、加奈子は幸せだった。
幸せだ、と思った次に傷つきたいと思った。
暖か過ぎて、いつの間にか何もかも感じれなくなっていた。
ただ傷つきたかった。

バイクは土手の細い道を転がって、大きな国道にぶつかり、止まった。

ポケットでずっと振動していた携帯を取り出して、加奈子は電話越しに、独り言のように祐輔へ呟いた。

「煙草なんて、ちっとも美味しくなかったわ」 と。

おいてけぼり 

2005年07月15日(金) 21時12分
銀盤に歪んで映るあの人の亡霊がちょっとした瞬間に私を怖がらせる。

目の前で吐き出されてく、長いエスカレータの舌に乗ったスーツの黒波。
その中にあの人はいる。

愛を説いて欲しくて
ごっこあそびに
のめり込んで
あの人の背中に
頬をあてて
チークを付けた
あの人の鼓動が
早まってくのを
静かに感じてた

下らない

あそび相手はもう
夕方の淋しいチャイムで
ママの待つ家に帰ったのに

傷の舐め合いはもうやめようか 

2005年06月28日(火) 21時44分
私を見ていると
貴方を見ているようで

たまらず
抱き締めてしまったんじゃないですか?

私だって
同じ気持ちだけど

抱き締めたいけど

抱き締めても
きっと
何も掴めないから

私は
2本ある腕を
ぶらんと垂れ下げて
貴方の中の私が
満足するまで
ただ立っていた
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