恋文 

April 11 [Tue], 2006, 23:33
今年一緒に見たのは、オレンジ色の直通電車から見下ろした並木。

薄くグレイに霞んだ空からパラパラ落ちる小雨が無数の波紋をつくる、大川沿いの両岸に淡く敷き詰められたサクラ色の絨毯の先の右側には、レンガ造りの造幣局がちらりと見えたね。

息をのんで見つめてた。
時間にしたら2秒?3秒?

眼を閉じてたって見える色彩。
手を繋がなくたって伝わる風景。

どんな言葉に文字にしようとしても、僕はまだまだ上手には変換できないけれど、あの時、春の雨に洗われた花びらの一枚一枚までもが、君の大きな瞳を通して、今も僕の網膜に焼き付いてるんだよ。

そう、まるでひときわ華やかな栞みたいに、僕と君との分厚いアルバムに挟まってるんだ。


恋文 

April 11 [Mon], 2005, 0:43
北国に育った僕にとって桜は、いつだって別れの後に咲くモノと決まっていた。
幹を、枝を、少しずつ紅く染めて開花の準備に入る時、僕の目前にはいつも沢山の別れがあった。
そして一斉に咲きはじめる桜。新しき出会いの前の寂しさの時間の中、グラウンドにも街にも桜は溢れた。どんなに心を紛らわしても、どんなに酒をあおっても、誇らしげに咲く花びらだけを見てた僕には、この樹の移ろいだけは心にポッカリと開いた穴を塞ぐための言い訳に見えてた。その淡い色さえ、寂しさを慰めるだけだとさえ思ってたのだ。
そう、つい最近まで。

でもどうだ、僕の眼に映る今年の桜は違う。
枝を隠し、幹を隠す程のこの美しい華よ。夏の厳しい暑さの中でも人々に木漏れ陽をもたらし、厳しい木枯らしに身を削り、吹きすさぶ北風にも耐え、巡り来る新しい季節には誰にも真似出来ない程の華を咲かす。力一杯。来年も、再来年も、ずっとずっと。

桜を想う時、僕は自分の中にあるちっぽけなエゴを忘れそうになる。見とれ、心を奪われ、力をもらい、また前を向こうとする。

僕は気がついた。もう知っているんだ。
例え気まぐれな季節外れの冷たい雨がいくらその花びらを散らそうと、美しき華の中に宿る、はかなく散る花びらの影にある、繰り返す季節を乗り越える力とその強き意思を。

この樹を見上げる度に僕は想うだろう。その時どこに生きていても、どんな苦しみの中にいても。

季節は巡る。桜は花だけにあらず。


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