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二代将軍徳川秀忠が伊達政宗に「大将の器はどんなもんじゃ」と聞くと、側にいた柳生宗矩は「仁、義、礼、智、信ではございますまいか」と言う。政宗は膳のおかずを食べている。宗矩の言葉を聞いて、「仁にすぐれば弱くなりまする。義にすぐれれば硬くなりまする。礼にすぐればへつらい、智にすぐれば嘘をつく、信にすぐれば損をいたしまする」とこたえる。徳川幕府は磐石の体制を築こうとしている政宗最晩年での秀忠との謁見である。
なかなかこのバランスは難しく、20年遅れて戦国の終期に誕生した政宗は秀吉や家康をけん制しながら幾多の危機を乗り越え、多くの大名の中で重い存在となる。やがて天下取りはあきらめ、副将軍となり、将軍へのご意見番となる。戦国の時代は終わったのだった。
政宗は武にも秀でていたが、お能やお茶、香道、書、漢詩、短歌や連歌にも優れ、着衣も派手で、デザインの勘も新しかった。
天下取りをあきらめた頃の漢詩である。
馬上少年過
時平白髪多
残躯天所許
不楽復如何
書き下し文ではこうなる。
馬上、少年過ぐ
時は平らかにして白髪多し
残躯は天の許す所
楽しまず復た如何せん
最後の行を「残る人生楽しまずにいようか」ととるか「楽しめない」ととるか解釈が分かれるところだろう。それにしても政宗の才能がわかる。
こういう詩を見ていると、書でも習って、書いてみたい気がする。また政宗のように舞ってみたい気もする。
尾鷲だったら「仕舞い」を教えるところはないが、「書」ならある。習ってみようか、と思ったりする。
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