恋心青春期**1

October 17 [Thu], 2013, 22:09
恋心青春期**1一目惚れ、って…俺は信じない方だった。けれど、そんな俺の考えは…すぐに、かき消されてしまうわけなんだけど。あの日の俺は、少し様子がおかしかったんだと思う。周りから見ても変だと言われていたくらいだし、熱があるのかって心配されたくらいに。だけど、俺は。唐突に、なんの前触れもなく…恋に落ちてしまった。日々が一転して、まるで輝いてみえて。その彼の名は、星男。名前の通り、男…だ。自分で思っていた普通なんかを飛び越えて、男を好きになってしまったのだ。なんで、彼のことを好きになってしまったのだろう。…それは、未だに自分でも分からないことなのだ。…他の男を見てもどうも思わない限り、きっと俺はゲイではないはず。でも、いいんだ。一目見たあの瞬間、俺の中の何かが動き出したことには…変わりはないから。「沙汰、おはよー」「おう、はよ」いつもと同じ変わらぬ朝、変わらぬ教室、変わらぬ友達たち。つまらない日々なのか…、そう思っていても、いつも通りに授業をうけて、居眠りして、友達たちと笑いあって。ボーッとしながら時間を過ごしていると、またすぐに昼食の時間がやってくる。その日の俺は、いつものように中庭で友達と飯を食っていた。弁当だけでは足りないから、購買でパンをいくつか買って口に詰めている、そんな時だった…気がする。なんとなく視線を感じて、そちらの方向を見てみたら、後輩の星男がこっちに向かっている様子だった。この中で彼の知り合いは…俺しかいない。さっきまでは感じていなかった胸の高まりが、分かってくるのがどことなく憎らしい。「センパイこんにちは。お久しぶりですね?」「…うん、久しぶり」「あれ、センパイ?なんか顔色悪いみたいだけど…大丈夫なんスか?」なるべく目線を合わせないように、そう思っていた俺の意図が逆の方にバレたみたいだ。大丈夫だから、と返事をすると、星男がベンチに座ってた俺の肩を、ポンッと軽くおしやった。いつもとは違う、少しどきどきする雰囲気に、若干の違和感を覚える。「だったらいーんスけど。ははっ、なんですかその顔、ひどい」そんな彼の雰囲気に、すぐに焦ってしまう俺が大丈夫な筈はなかった。だから、なんて話しかけられようが、作り笑いになってしまうのは必然のことだった。作り笑いなんか、誰にも見抜けやしないんだ、きっと。「おめぇな、先輩にむかっての態度改めろよー?」「ははっ、センパイにならいいんスよ」そう言うと、星男はにっこりと笑って俺に笑顔を見せた。女の子たちが、きゅんとするような笑顔。きっとこの笑顔で、数々の女の子たちを落としてるんだろうなって、そんな笑顔。…あ。やばい。そう思ったときには、もう遅かった。なんなんだ、その笑顔は。…反則、だろう。きゅんとしてしまった胸に、俺が勝てるわけがない。「…俺、用事あるから先行くわ。ごめんな」「用事?おーう、分かった」これ以上顔を見れなくなって、友達を置いてまで、俺は普通を装って逃げだそうとしたのだが。弁当箱を持ち走り出した自分の足は、すぐにとめられる事になる。「…センパイ…っ!」誰もいなさそうな木陰に足を運んだら、星男は、逃げようとする俺の腕を咄嗟に引っ張って。「ぅ、おっ!!いきなり、ちょ、痛い!な、に…星男…っ!」当たり前のことだが、グッと引き寄せられてしまったので、必然的に星男と見つめ合うことになった。それでもなんとなく見れなくて、少し目線を逸らしてしまう。「せっかく、久しぶりに会ったのに…センパイはなんで逃げようとするんスかね?」掴まれた腕を、更に強くギュッと握られた。なにかを言い当てられるみたいで、変に緊張してしまう。「…な、に…。お前に関係なくねぇ?!別に逃げてねぇし!つーか…離せよ!俺時間ねぇの!」焦って、意味の分からないことを言いながら、また顔を逸らしてしまう。なんで星男に腕を掴まれてるんだとか、意味の分からない言い訳を言っている自分とか、もう、なにがなんだかよく分からなかった。逃げると言う言葉も、間違ってはいないんだけど。それに関して、星男は一切俺の感情を知らないわけだから、分からないわけだし。「センパイはまた顔逸らすんスね…いっつも俺だけですよね。顔合わせないの」「…っ、」「そんなに俺のこと…嫌なんスか」そう言いながらも星男は、俺の腕を離そうとはしなかった。何を言っているんだ…こいつは。「ちげぇよ!んな訳…ねぇだろうが!別にお前だけじゃないし…」少しずつ顔をあげながら、星男の顔をみた。…はじめてみる男らしい顔に、余計に胸がきゅんときてしまう。だから、もういいかなって、思ってしまった。言ったところで…って分かっていたけど。こんな顔をみれたなら、もういいかな、なんて。「じゃあ、なんで…」「それは……俺、お前のこと…す、好きなんだよ…」小声で、聞こえるかどうかの声で星男に呟いた。思わず言ってしまったが、よくよく考えたら爆弾発言だろう。でも…、言わずには、いられなかったんだ。「え?聞こえませんでした…何て言いました?」「…くそが」…ああ、なんなんだこいつは。なんだよ…こっちは簡単に好きだって言えるわけねぇだろ。男同士なんて。振られたら気持ち悪がられて、そばにいられなくなるんだ、当たり前なはず。「……。」「センパイ?」俺は、なんにも言えることがなくて、黙ってしまった。だって、嫌だ。俺だけ、こんな…。「…センパイ…?どうしたんスか?いきなり黙って…」「あ、悪い…。考え事してて…」俺は、無意識のうちにまた、無理に笑っていたみたいで。そんな俺の顔を見た星男が、その綺麗な顔の眉毛を八の字に曲げて、「またですね、センパイ。何でいつも俺に向かって、そんな顔して笑うの…?」「え…」困ったような、顔をした。あまり見たことのない、顔を。「…だってもう、俺だって限界なんだよ…」「え?何が限界なんスか?」顔を覗きこまれて、またつい無言になってしまう。こんな時、何を言ったらいいのか。あの気持ちなら、溢れんばかりの気持ちなら、ここにある。…言うしか…ない…でも…。いや、でもやっぱり。星男には、あんな顔させたくはない。俺なんかの私情で、悩ませたくはない。だから、もういいや。言ってしまおう。そうしたらきっと、俺も楽になれる気がする。「俺は…お前のことが…好、き…なんだよ!」…今度は、大きな声でちゃんと言った。言ってしまった。ただ一つ、問題は星男がなんて言うか…、なんだけど。「…センパイ…それ本気で言ってんのか?」「…っ、恋愛、だからなっ、」いつもより低い、そして敬語ではない星男に、びっくりして、思わず顔をあげた。 …星男の顔は、いつもよりずっと真面目だった。「好きじゃねぇなら…んな事言えるわけねぇだろうが!…このくそガキっ!!」星男の胸元を、手でポンッと叩いた。涙が、出てきてしまいそうで。「…そーだったんスね…ごめんなさい、知らなかったです」「…、いい、別に。分かってるから、気持ち悪いって」「…バカですか、センパイは。」「は?なに言って………。っ!」「…俺、俺も好きなんだよ…」そう言いながら、星男は震えながら俺をギュッと抱きしめた。いきなりの展開に…頭がついていけてない。だって、こちとら振られるものだと覚悟していたから。それに、触れあう体にどきどきして…熱くなる。「…嘘だ…お前、俺と同じ…?ほんとか…?」顔を合わせてしまうと、嫌でも自分の顔が真っ赤に染まるのがわかって。「…センパイ可愛い。大好きですよ…、ずっと前から」 そう恥ずかしいことを言ってきたと思ったら、ゆっくり顔が近付いて。え、と思ったと同時に、口が塞がれた。「ちょっ…ほし…んっ!?///」ちょっと…まてよ。早すぎる、だって数秒前じゃないか。…なんか、頭まで可笑しくなってしまいそう。俺は男なのに、こいつは対抗がないのか。「やらしい顔…センパイ、誘ってるんスか?」「…くそが!潰すぞお前!///」とんでもないことを言ってくる星男から、目線を逸らした。ありえない、どんな顔をしていたっていうんだ。「センパイ…俺の顔見てくださいって」そう言って、俺の顔を優しく引っ張るから…自分の顔が、余計真っ赤になってしまう。「……っ!////」「ははっ、やっぱり可愛い。センパイ」星男は、そんな俺の頭を優しく撫でた。優しくて、大きくて温かい手のひら。「おめぇさっきから、可愛い可愛いとかうっぜぇんだよまじで!」 そう言いながらも、その手のひらの温かさに安心して、ギュッと星男の服を掴んだ。…これじゃあ、まるで嫌がっていないのと同じじゃないか。そうも思ったけど、…嫌ではない、ことには変わりないから。「俺、センパイのことすげぇ好きなの。分かって?」優しく、星男が俺の耳元で喋る。問いかけるみたいに、優しく。「あ…っ、ちょ、っとやめろ」耳元なんかで喋られてしまったら、くすぐったさと恥ずかしさが交わって、変な声を出してしまった。「…センパイ、耳弱いんスね?」「…うっぜぇ、まじ」どくんっ胸が、ときめく。からかわれると思っていたのに、目を細めてかっこよく微笑まれては、余計に惚れてしまう。そんな顔を眺めていたら、慣れている様子で、ぺろっとまた舐められた。「やっぱり可愛いよ、センパイ。もっと好きになる。その顔、俺だけに見せてね?」そう言って、俺の頭をまた優しく撫でた。「だぁかぁら!!俺はガキじゃねぇんだよ!」と言って、割と本気に星男を睨む。…俺だって、もっと余裕になりたいんだ。「センパイは可愛いんスから」「…うっぜぇ。」「ははっ、センパイ…好きですよ♪」「…っ、離せよ!誰かに見られたらどおすんだよぉ!」「しーっ、バレたくなかったら…大人しくしてて。」「………っ!」言いくるめられてしまったけど、抱きしめられる温かさに安心して、俺は身を預けていた。しばらくそうやって、仕方なくだけど、仕方なく!お互い無言で抱き合っていたら、キーンコーンカーンコーンいつもの、この幸せの時間の終了を知らせるベルが鳴った。「…終わりですね?」「…うん、」「…センパイ?帰り、俺と一緒に帰りましょうね?♪」え?そんな嬉しいことを言われて、若干の早さで星男の顔を見つめる。そんな俺に気づいたのか、照れながらも嬉しそうに笑ってくれた。でも、どうして。もう今日は、必然的に会えないだろう、そう思っていたのに。「俺、部活あるよ?いつ終わるか分かんねぇし…」おそるおそる、星男の顔を見る。「いいんスよー!それでも待ってますよ、センパイのこと。」星男は、またさっきと同じ笑顔で、俺にニコッと笑いかけた。…そう言ってくれるの、ほんとは期待してた。その一言で、もう今日の頭の中から部活という言葉は、消し去られいったけど。「…じゃあ、連絡するから校門で待ってろよ」そう言った俺は、もう星男の方を見ずに、教室までダッシュで戻った。恥ずかしい、恥ずかしい。あんなことをしていた自分が、恥ずかしい。素早く教室に戻り、一旦息を落ち着かせてから、自分の席に座って考えた。…ありえないだろ、男同士なんか。もし、親にバレたら…。そう考えたら、ゾッとした。きっと、受け入れてはもらえないだろうから。でも、それでも。未だ俺の頭の中を占めるのは…星男だけだった。星男side顔を真っ赤にしながら走っていったセンパイは、やっぱり可愛い。…逃げちゃったけど。まぁ良いか、また今度ちゃんと捕まえよう。そう思って誰もいない静かなこの場所から軽やかに足を動かして、ゆっくりと教室に戻っていった。教室に入るとすぐに、自分に話しかけてくる女子には目もくれず、自分の席につく。…俺、モテるんだった。自分で何言ってるんだって、そう思い心の中でクスっと笑った。しばらくすると先生がやってきて、普通に授業がはじまるけど。俺が考えているのは、やっぱりさっきのことだけで。…まだ、センパイの唇の熱さが体に染み付いている。あんな奇跡、起こるものなのか。俺で、いいのか。彼にとって俺はどうだったのかは分からないけど、俺はなんでもよかった。俺は、これでも良い。ふられても良かった覚悟だから。でも…沙汰センパイが、あんなことを言うから。いけないことと分かっているのに、とめられなかった。そんなことを考えながら、俺は授業も聞かずにぼーっと窓を見つめていて。…沙汰センパイ。本当に好きなんだ。何回も同じことを言ってしまうくらい、好きだった。…俺の頭から、離れていってはくれない。ヤバくなりそうなくらい…しばらくは沙汰センパイの事しか考えられないかもしれない。なんだか授業にも集中できなくなってしまった。いつものことなんだけど。…一旦、冷静になりたい。この愛が、危ない方に動く前に。「…ちょっと、具合悪いんで保健室行ってきていいスか?」スッと立ち上がった俺は、まるで具合の悪そうな体勢をして、先生にそうつげた。許可をもらい足早に教室を出て、姿が見えなくなる位置にまで来たら、別の部屋に向かう。勿論保健室なんかではない。サボりがばれてしまうから。空き室を見つけたらトビラを開けて入り、閉めてそのまま座りこんだ。どうしたらいいんだ、俺は。男なんかありえないはずなのに、センパイだけはどうしてもほしくなる。でも、センパイの幸せを望むならきっと…この関係はよくないだろう。幸せな未来を描くなら…俺では、きっと駄目なんだ。そう、長い間悶々としていたら、またあのベルが鳴り響いた。キーンコーンカーンコーン…「…センパイのこと考えるだけで、こんな早く感じるもんなの?」あっという間に、自分が思っているよりも早く、いつの間にか授業が終わっていたらしく。自分がどれだけの早さで彼に溺れていくのか、目に見えていた。落ち着こうにも落ち着きようがなくて、でも仕方ないから、俺はまた教室へと戻って行った。沙汰side「んーやっと終わった…」俺にとっては長い、くそつまんない授業が終わって、立ち上がった。あんなくそつまらない授業、俺には合わない。ぞろぞろと部活のない奴らが帰ろうとしているすがたを見て、俺も見つからぬよう早々と帰宅の準備をして、さぁ帰ろう。そう思ったとき。「今から部活だなぁ!沙汰」後ろから、ポンっと軽く同じ部活の奴に頭を叩かれた。それに、多少ビクッとするものの、俺は普通を装って。「お前寝てたよなぁ?授業はちゃんと受けろよ〜」「お前だって寝てただろ!人のこと言えんのかよぉ !」そいつが、笑いながら俺に文句をはいてくる。自分だって、まともに受けてなんかいないくせに。しかも…俺は今日、部活には出ないのだ。なんでかって…、早く、会いたい奴がいるから、だけど。言えるわけがないから、そこは適当にあしらって。「なんでだよぉ?普通に部活行けばいーじゃん」「用事あんだよ!部長にはうまく言っといてくれよ、頼む」「…じゃあ、今度飯奢りな 。じゃあな!」しつこかったから、どうだろうとは思っていたけど…。なんとか上手くかわせたみたいで、ほっとしながら教室を出た。部長は、本当に怒ると怖いから。サボったなんてバレてしまったら、それこそもう終りなのだ。だから友達も、一人では行きたくないと執着に俺を留めようとしていたようだったけど。皆が帰る中で、俺もそれに交わりながら階段を降りる。「…あいつに、電話しようかな」下駄箱まで降りた俺は、キョロキョロしながら、一人そう呟いた。そうと決めたらやってしまいたいもので。くまなく俺は、電話帳をかけめぐり、見つけた目当ての番号に電話をかける。躊躇なく電話をかけて、まだかまだかと彼が出るのを待っていた。…コールがなっていくけど、出る気配はまるでない。なんかしてるかな…そう思って、電話を切ろうとしたけど。「あ、もしもし?星男?」『もしもし…』「うん、俺さ。今日部活出ねぇからさ、今から一緒に帰れるよ」『あ、そうなんスか…』瞬間に電話が繋がって、びっくりしたけどさっきとは違う雰囲気になるように、俺は星男に話しかけた。嬉しそうに電話をしている俺とは対象的に、電話越しでも分かる、なんだか暗い雰囲気を放つ星男。それでも何でもないようなフリをして、電話を続けてみた。「お前今どこにいんの?教室?」『どこって…理科室ですけど、』偉そうに、なにかを隠すような喋り方に、先程は違うことが明らかに分かって。星男の声も震えていて、なんだが様子がおかしい。「…おい、お前大丈夫なのか?」『…何がですか?』「どーした?様子おかしいぞ?」『…なんでもないですって。大丈夫です』「…っ、今すぐそこ行くから!待ってろ!」大丈夫だと言い張る星男に、そうつげて俺は理科室に向かう。様子のおかしいと言うことだけは分かったのだが、何があったのかはよく分からない。電話は繋げながら、駆け出そうとした、ら。『っ、センパイ…大丈夫です。俺がそっち行きますんで待ってて下さい』「え…」しかし、星男が静かに冷静に、あっけなく俺を止めたから、行くことは出来なくて。ここで無視してまで、嫌われたくはないし…。…簡単に言うと、今は言うことを聞くことしか、俺にはできなかった。「わかった、待ってる。そんな急がなくてもいいからな?」『…分かってますって。じゃあ切りますね』未だに声だけは震えていた様子の星男だったけど、冷静にすませたいみたいだったから、俺も大人しくしていた。そわそわして待てはしなかったけど、今は星男の意見を尊重したい。ここは素直に、俺は星男を待つことにしたのだった。★☆続く☆★読んでくれてありがとうございました☆★★☆続きはお楽しみに
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:結城
読者になる
2013年10月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新記事
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/19991214mari/index1_0.rdf