ハッピーバレンタイン? 1 

2006年02月09日(木) 14時09分
「エルリック少佐」

呼ばれた青年は後ろに振り返った。
エドワード・エルリック少佐。史上最年少の国家錬金術師は今や中央司令部の軍人となっていた。
長い金糸を高い位置で一つに結った彼に少年の面影は殆ど残っていない。

「・・・んだよ、マスタング中将」

嫌そうな顔と言葉、ほんの少しの嬉しさを込めた返事の相手は彼の後見人であるロイ・マスタング中将。

「憲兵から君宛ての小包を預かったのでね」

「オレ?」

「あぁ。渡しついでに私の今日の予定も教えてくれ」

「了解」

昔の彼では考えられない口調にロイは思わず吹き出しかけた。今も彼が敬語を使う相手は数少ない(少なくとも私と私の部下には使わない)が改めて彼の敬語を聞くと変にくすぐったくなる。

「・・・何が可笑しいんだ?」

「いや、別に?」

執務室の重厚な革張りの椅子に腰掛けながらロイは笑いを堪えた。

「これ・・・アルからだ!」

彼の弟であるアルフォンスは元の身体に戻ってからはリゼンブールに残って医者になる為に勉強していると聞いた。

「アルフォンス君か。元気そうか?」

「んー何々・・・リゼンブールで町医者として頑張ってます・・・」

弟のことを考えている時の彼は見たことのないような顔をする。
愛しくてたまらないような笑顔。

「オレも頑張らねーとな・・・あ。中将、今日ってバレンタインだったりする?」

「君の言う通りだが・・・どうしたんだ、急に」

「アルがチョコも一緒に送ってきたからさ」

これ、と彼が取り出したものは透明な袋に入ったアーモンドチョコ。あの弟のことだから手作りなのだろう。

「中将の分も入ってるぜ。ホラ」

エドワードが投げてよこした包みには確かに私の名前があった。

兄さんは渡しません。のメッセージと共に。

「・・・今夜にも返事を書くのだろう?確かに受け取った、と伝えてくれ。それと」

「それと?」

弟からの手紙に夢中でロイの言葉に顔を上げずに答えていたエドワードはいつの間にかロイが自分の前に立っていることに全く気付いていなかった。

「君のお兄さんは私が頂いた、と」

「はぁ?何言っ・・・」

ようやく顔を上げたエドワードの顎を右手で捉えた。

「っ・・・中将・・・?」

「こんな時はロイと呼びたまえ」

こんな時、の意味を瞬時に理解したエドワードは一気に顔を朱に染めた。

ハッピーバレンタイン? 2 

2006年02月09日(木) 14時01分
「ここ何処だと思ってんだ!」

「私の執務室だ。鍵を掛ければ問題ない」

「大有りだ!!さっさと離れろ!」

「悪いが部下の命令は聞き入れない主義でね」

聞けだの何だのと喚き立てるエドワードの顎を上向かせてそのまま唇を重ねた。

「んっ・・・」

久しぶりの濃厚な口付け。

「っ・・・ふっ・・・」

何度も角度を変えて重なる唇。新鮮な空気を吸おうとする彼の小さな声にも欲情する自分が居た。

ごめんね?

心の中で彼に謝罪した。しかし、この言葉が口から出てくることは永遠にない。

ほんの僅かでも、彼が私を受け入れてくれるならば私は彼に謝罪はしない。

その代わりに愛を囁こう。
身体の奥底から溶けてしまいそうな甘い愛の言葉を。

「・・・んっ・・・ロイっ・・・」

ようやく唇を離してやるとエドワードは涙目でロイを睨みつけた。
エドワードの手はしっかりとロイの軍服を掴んでいる。きっと無意識なのだろう。そう思うと再び愛しさが溢れてきた。

「・・・今日はバレンタインだね。君からのチョコはないのかい?」

「あるわけねーだろ。死ね無能」

「そうか・・・それは残念だ」

あまり残念そうではない声色にエドワードが危機感を感じた時には既に遅かった。

「では代わりに君を頂くとするよ。あと・・・言葉遣いも躾る必要があるかな」

心底楽しそうに笑うロイにエドワードは恐怖を感じると同時に生来から自分に備わっている負けず嫌いなプライドも頭角を出し始めた。

「・・・いいぜ・・・やれるもんならやってみろよ」

先刻までの可愛い君は何処に行ったんだい?・・・と言いかけてロイは口を弓なりに曲げた。

君がどこまで耐えられるのか。
私を兆発するのがどういうことか。

骨の髄まで分からせてあげよう。

「では、お言葉に甘えて」

君の挑戦的な瞳は昔から変わらない。
その瞳に私が欲情することも。

「遠慮すんなよ、マスタング中将」

「後悔するなよ、エルリック少佐」

後悔なんて彼はしない。いつだって精一杯前を向いて生きているから。

そんな君が時折、羨ましく思えた。いつでも精一杯前を向いて生きるなんて、私は遠い昔に捨てたから。

「・・・愛してるよ、エドワード」

「・・・・・ん」

エドワードの小さな返事を合図にロイは彼に覆い被さった。

ハッピーバレンタイン・・・? 3 

2006年02月09日(木) 14時00分

「・・・・っはぁっ・・・」

荒い呼吸を肩で繰り返しながらエドワードはソファーの上から外を見た。
太陽がかなり高い位置にあることから「あの時」からかなり時間が過ぎていることが分かった。
起き上がろうと上体を起こすと腰に鈍痛が走る。

「くそっ・・・・目一杯やりやがって・・・・」

痛みに耐えて何とか起き上がった。部屋にはエドワード以外誰も居ない。
痛みの原因を作った張本人は軍議の時間だと言って何事もなかったかのように颯爽と部屋を出ていった。

「・・・・・・あっ・・・」

何かを思い出してエドワードはソファーの下に脱ぎ散らかされた自分の上着のポケットを漁った。

「よかった・・・無事だ」

出てきたのは小さな包み。
先刻の情事で駄目になっていないかとヒヤヒヤしたがその心配はいらなかった。

「どうやって渡そう・・・」

何ヶ月も前から用意していた。この季節になると店は女の子で混雑するし、さすがにそんな場所に自ら向かう勇気はない。

「・・・・・これでいっか」

シンプルなカードに簡単なメッセージを書いて執務机の端の方に置いた。これが1番自分らしい渡し方だとエドワードは思った。

戻ってきたらどんな顔をするだろう。そんなことを考えながら。

身なりを整えてエドワードは部屋を去った。







「やぁ、鋼の。気分はどうだい?」

両腕に大きな袋を下げてロイが戻ってきた。袋からは綺麗にラッピングされたチョコが溢れそうになっている。

「なんだ、もう戻ったのか・・・・・・・ん?」

机の上にある小さな包み。

メッセージカードを見てロイがエドワードを探して司令部中走り回ったのはその数秒後。
エドワードがロイに見つかって抱きしめられたのがその数分後。
エドワードが照れ隠しでロイに平手打ちをしたのがその直後。

「あれは君の気持ちと受け取っても良いのだね?」

「・・・勝手にしろっ・・・・・・」








マスタング中将へ

貴方のことが愛しくてどうしようもありません



―――fin.―――



芹沢「よいしょっと・・・・」

ハボ「・・・・何してるんです?」

芹沢「いや、打ち上げの準備を」

ハボ「・・・・?ってなコトで下に打ち上げがあるそうです」

打ち上げ雑談会。 

2006年02月09日(木) 12時21分
芹沢「どうも。作者の芹沢です・・・・・・でりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

(ロイに冷水をぶっかける)

ハボ「どうも。芹沢さんの部下のジャン・ハボックですって・・・・・何してるんスか!!??」

芹沢「いや、抗議の焔が来る前に対処しとこうと思って」

ロイ「なっ・・・・何をするんだ!!!」

芹沢「だから抗議の焔が来る前に以下略」

エド「いーぞー♪やっちまえー!」

ロイ「は、鋼のまで・・・・・」

エド「オレもどこまで書かれるのかヒヤヒヤしてたけど上手くスルーしてあってマジで安心したぜ」

芹沢「本当は書こうと思ったけど手が恥ずかしくて拒否するので止めました」

ロイ「何っ!?どうしてそこを書かないのだ!!私と鋼のの愛の営ゴフッ

(エドの無言の鉄拳。もちろん右手)

ハボ「うわぁ・・・・・ところで、どうして今回は未来捏造なんですか?」

芹沢「捏造って・・・・・まぁ、捏造っちゃ捏造だけど何となく書いてみたくなったからかな」

エド「はーい、質問」

芹沢「はい、どぞ」

エド「そのー・・・・未来ってことは・・・・オレの身長は・・・・」

芹沢「あぁ、もちろん私の中ではググッと伸びてます。170は想定して書いてます。」

エド「170!!あと10センチ欲しいけどこの際文句は言わねぇっ!!」

芹沢「ちなみに、今回は書いてないけど未来のハボック少尉は中尉になってます」

ハボ「マジっスか!!うわ、最高!!」

ロイ「ちょっと待て・・・・」

エド「あ、生きてたんだ」

ロイ「鋼のが170センチ・・・・?鋼のはいつまでも小さくて可愛いままでいないとっ・・・!」

エド「誰がウルトラスーパースペシャルミクロサイズだぁぁぁぁっ!!!!!!!」

芹沢・ハボ「「誰もそこまで言ってないって・・・・」」

君が私の全て 

2006年02月08日(水) 17時20分

「たーいーさ」

「・・・何だ。気色悪い声を出すな」

「気色っ・・・・・・そっそれが可愛い部下に言う言葉っスか!?」

「可愛いは余計だ。何だ、上官に口答えする気かね。ハボック少尉」

「・・・・しないし、できませんよー」

「なんだ、分かっているじゃないか」

「分かってますよ。だからオレ達部下は口答えしないんス。たとえそれが貴方との永遠の別れを意味していても」

「・・・ハボック・・・・」

「あんたが死にに行こうとしているのが分かっていてもオレ達に止める権利はないし、止められない・・・・・・・・・・・・・大佐」

「・・・・・・何だ」

「もっと自分を大切にして下さい。『彼』のことが大切なのは十分分かってます。だけどオレ達はあんたの方が大切なんです」

「・・・・・・・・ありがとう。優秀な部下を持てて私は幸せ者だな」

「どういたしまして。部下代表としての意見ですけど」


大切。

他の何にも変えられやしない存在。
他の何にも変えたくない存在。

私はき見の「大切」になれているのだろうか。

私の大切な大切な存在。

なぁ、鋼の。

――fin.――

芹沢「ハボロイと見せ掛けて締めはロイエドですね」

ハボ「オレ、なんかすっげーカッコイー役な気がする・・・・・・・♪」

ロイ「おい・・・・」

芹沢「うん、今回はハボの優しさを最大限に引き出そうと♪」

ハボ「マージでー!!???」

ロイ「おいっ!!!!!!!!!私の台詞が少ないぞっ!!!!!!」

芹沢「普段から煩いんだから今回ぐらい大人しくしてなさいよ」

エド「オレなんか一言も喋ってないんだけど」

芹沢「エドはバレンタイン話でめいっぱい喋ってもらいます。ロイもね」

エド「あ、そんならいーや」

ロイ「まぁ、鋼のと一緒なら・・・・」

一同(うわぁ・・・・ウザ。)





劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者〜前日〜 

2006年01月24日(火) 21時20分
エド「こんばんわ−、主人公のエドワード・エルリックです」

アル「こんばんわ、準主役のアルフォンス・エルリックです」

ハイデ「こんばんわ、映画では主役級のアルフォンス・ハイデリヒです」

エド「今日はですねー

アル「(遮って)ついに明日発売!!劇場版鋼の錬金術師シャンバラを征く者!!

ハイデ「(さらに遮って)・・・の発売前日の座談会です!!」

エド「お前ら何すんだよ」

アル「なんとなくノリで」

ハイデ「合わせるべきかなぁと思って」

エド「・・・・まぁいいや。というわけで今回は俺達3人で見所なんかを語ろうと思います!!」

アル「一つに纏められないぐらい見所沢山だよね」

エド「まぁ、ぶっちゃけるとそうだな。て言うかお前まとめすぎ」

ハイデ「まぁまぁ。僕は最初の方のあの台詞に気合が入りましたね」

エド「あぁ、アレな。あれでお前のファンが増えたと言っても過言じゃねぇな」

アル「僕は登場するのが一番遅かったんだよね」

エド「視聴者をこれでもかと言うぐらい待たせての登場」

ハイデ「その頃僕らはピーチクパーチクでしたよね」

エド「そうだな・・・・お前はあんなことになってるしよ」

ハイデ「でもあれはあれで視聴者に忘れない存在になりましたよね」

エド「あの一言は好きだって人が多いぞ」

アル「僕もハイデリヒさんと直接話てみたかったなぁ」

ハイデ「まぁ、それはいずれ芹沢さんがしてくれるんじゃないかな」

アル「え、無理だよ。あの口先女」

エド・ハイデ「・・・・・・・・・・・・・・」

アル「でもあのラストには誰もが驚かされたと思います」

エド「あれは俺も驚いたって。でも嬉しかったな」

アル「どんなラストだったのかは見てのお楽しみ☆」

ハイデ「見た後には十人十色の感想がある映画です」

アル「僕達の選んだ道を見届けてもらえたら嬉しいです」

エド「2年後の俺達の少しでも成長したところを見てください」



アル「・・・・・そういえばさ、大佐は呼ばなかったの?」

エド「あぁ、なんか明日だってよ」


1分でも、1秒でも。3 

2005年12月27日(火) 16時56分
耳元で囁いてやればすぐにエドワードは黙った。自分の右の掌に妙な感覚が広がる。彼が何度も瞬きをしているのだろう。長い睫毛が少しくすぐったく、そして愛しく感じた。
右手で彼の視界を奪ったまま、左手で彼に外套を着用させ、マフラーをさせ、靴を履かせる。我ながらこういうことに関しては器用だと思った。

「今何がどうなってるわけ?」

「何もどうもなっていないよ・・・・ほら」

いきなり視界が開けたエドワードの目に入ってきたのは空から舞い落ちる真っ白な粉雪。そして・・・・・

「うわぁ・・・・・オレ、雪って初めて見た・・・・」

「中央でも頻繁にお目に掛かれるものではないからね・・・・ヘクシッ」

「え、あんたなんで上着着てないんだよ!!」

必死になって雪玉を転がしていたエドワードはロイが上着を着ていないことに初めて気が付いた。

「早く君にこの景色を見せてあげたくてね」

「アホか!!すぐ持って来てやっから待ってろ!」

しょーがねーな、と文句を言いながらエドワードは玄関へと戻っていった。空を見上げると当分降り続けるつもりなのか舞い降りてくる雪の量が増えた気がする。

「聖夜の仕事は雪掻きかな・・・わぷ」

いきなりロイの視界が暗闇になった。どうやらエドワードが背後からマフラーを掛けたらしい。そのすぐ後にコートを掛ける感触。

「ロイ」

「エド・・・そろそろマフラーを離してくれないかな・・・苦しいのだが」

「メリークリスマス」

ロイの唇に一瞬だけ、暖かい何かが当たった。パサリ、と雪上に落ちるマフラーの音。目の前には真っ赤な顔をして銀時計を持っているエドワード。

「・・・・エドワード?」

「ホラ。もう聖夜だぜ」

時計を見ると日付が変わって数分過ぎたところだった。どうりで近所が静かなわけだ。

「せっかくだから雪だるまでも作って「エドワード」

「え・・・・・」

雪が舞い降りて白くなった地面に出来た二つの影が重なった。




大切なのは一緒に過ごした時間の長さなんかじゃない。そこに思い出があれば、数分でも、数秒でもオレには大切でとても長い時間になるんだ。

----Fin.----

1分でも、1秒でも。2 

2005年12月27日(火) 16時55分
なっ・・・」

「目を合わせない、いや合わせようとしない奴を信用できるわけがないだろう」

ロイの核心を突いた言葉に思わず思わず顔を上げたエドワードの金色の瞳と先刻からエドワードを見続けていたロイの漆黒の瞳が重なった。

「・・・・・・別に嘘なんかついてねぇよ」

「現役の軍人相手に嘘がつき通せると思っているのかい?元軍属のエドワード・エルリック」

「随っ分と性悪なんだな、マスタング少将って奴は」

「自負しているのだから問題はないさ。さて、話を元に戻そうか」

どんな嫌味もこいつには効かない、と悟ったエドワードは観念して持っていた本をテーブルに置いた。

「・・・・・・・・・時間」

「は?」

「せっかくの聖夜だし、一緒に居られたらそれだけで十分なんだよ」

「それぐらい簡単・・・・」

全てを言う前にロイは言葉に詰まった。自分は軍属の身であり地位も決して低くはない。そんな自分に与えられるプライベートの時間は限られている。

「・・・・休暇が取れるように善処しよう」

「聖夜は仕事が入ってるって一昨日聞いたけど?」

「う・・・・・」

こんな些細な願い事一つ叶えてやることのできない自分が酷く情けない。「あの頃」の彼の願いにも自分は協力してやれなかった。自分は軍人だったから。彼らが越えてはいけない一線を越えようとしているのが分かっていたから。
そして今も協力してやることができない。自分は軍人だから。

「・・・・すまない。私がこんな職業だから・・・・」

「別にいいって。それがあんたの選んだ道だろ?それに・・・・・・」

「それに?」

「あんたが軍人であることにオレは感謝してる。あんたと出会ってなきゃオレはあいつ・・・・アルを元に戻すことはできなかった。あんたがオレに希望をくれたんだ。軍人のあんたが」

「エドワード・・・・」

そんな風に思われていたとは。

「それに、大総統になったあんたが作る国ってのも見てみたいしな」

「・・・・近いうちに・・・いや、今すぐ見せてあげるよ」

「へ?」

予期せぬ返答に思わず変な声を上げたエドワードをくつくつと笑いながらロイはエドワードの双瞼に自分の右手を翳した。

「わっ何するんだよ!!」

「いいから黙って立って」


1分でも、1秒でも。1 (アホ気に長いです) 

2005年12月27日(火) 15時30分
「エドワード」

「何?」

薪がパチパチと爆ぜる暖炉の前にあるお気に入りのソファーに座っていた青年・・・エドワードは読んでいた本を閉じた。

「クリスマスに欲しいものとかあるかい?」

「あー・・・・・・」

「・・・・・・」
「・・・・・・」

沈黙が続くこと数分。

「・・・特にない・・・な」

先程まで読んでいたページを探しながら愛想なく答えた。しおりを挟んでおけばよかったのに。

「・・・君は本当に物欲というものがないな・・・」

無理もない。幼い頃から彼の願いはただ一つ『弟の全てを取り戻す』ことのみだった。しかしその願いが現実のものとなった今・・・今度は自分自信の為に願いを持っても咎める者はいないだろうに。

「別にいいだろ。オレは欲しいものは自力で手に入れる主義なんだよ。そういうあんたはどうなんだよ」

「私?」

「あんたは欲しいもんとかねぇの?」

好奇心溢れる金色の瞳。彼の郷里で初めて出会った時に私が焔を宿した瞳。あれから随分と長い時間が過ぎたが彼の焔は昔と変わることなく瞳の中に輝いている。

「そうだな・・・」

「・・・・・・」
「・・・・・・」

再び数分間の沈黙が続いた。

「私も特には思い浮かばんな・・・」

彼の無欲さを指摘しておきながら自分も大して変わらないことに初めて気付いた。

「あんたも人のこと言えねぇじゃん」

ハハハ、と軽快に笑いながらエドワードは読んでいた本に目を戻した。ロイも隣に腰を下ろした。

「・・・本当に何も要らないのかね?」

「本当に要らない」

エドワードは顔も上げずに答えた。

「本当に?」

「要らねぇって言ってんだろ。何、オレってそんなに信用できないわけ?」

和やかな空気が一転して険悪な空気が漂い始めた。それでもロイは全く臆することもなく、むしろ怒りを含んだ声色で言い返した。

「あぁ、君のことなどこれっぽっちも信用してないさ」








エドワードさん観察日記〜その2〜 

2005年12月07日(水) 12時47分
11:00
資材を取りに行くとか言って倉庫に行ったエドワードさん。あと30秒もしたら物音がする予定です。
ホラね。毎回「周りの物を退けてから扉を開く」って言ってるのに毎回忘れてる。

12:00
昼食タイム今日の食事当番は僕です。というより、毎日僕です。
他の皆は「ハイデリヒの食事は美味だ」とか言ってくれるんだけど・・・・あの豆は・・・「お前に料理とか似合わねぇよな」だそうです。

砂糖と塩の違いが全く分からない人には言われたくないですね

そう言う時でも彼の瞳は僕を見ては居ない。エドワードさん、僕はここに居るのに。

15:00
ひたすら作業してたら日記どころじゃありませんでした
今日はエドワードさんがコーヒーを淹れてくれました。料理は全くダメなのにコーヒーはとても上手です。
ついでに言うと紅茶を淹れるのもエドワードさんは上手です。
ただ・・・・毎回毎回高価な茶葉を仕入れてくるのはホント止めてください。出費が痛いです。

18:00
どうも、僕は仕事に熱中すると周囲が見えなくなるらしいです。こんな時間だ。
さっき帰ってきました。頑張りすぎたのかな。少し体調が優れてないです。
エドワードさんが心配しているので休むことにします。
でも僕は台所から漂う異臭が気になって休めません。

Fin.

2ヶ月近くサボりました。しかも微妙な終わりです。ちょっと801感出そうとして止めました。
ハイデの黒さが微塵も出ていません。
次は・・・・・王道ロイエド書きます。むしろ今すぐ書きたい。