
もしかしたらおれは、あまり人に恋をした事がなかったようだ。
それ故、もしかしたら同様に人を信じるという事もままならずに今に至っているのかもしれない。
いい年こいて、そんな気がしてきた。
お前には、男がいた。
お前と男は、深い絆で結ばれてるように見て取れる。
そしてお前は、歌っていた。
おれも、歌っていた。
お前とおれは、同じグループを組んだ。
おれはグループで、リードを歌った。
いつしかおれはお前を好きになった。
始めのうちはよかった。
よくあるようなちょっとしたトキメキだけだったからだ。
自然と距離は近くなった。近くなるにつれ次第に当たり前のように恋へと変わっていってしまった。
決して許されない。
いや、おれがそれを許されない事とした。
同じように、お前もそうなのだろう。
それ以前に、お前はおれの事など視界に入ってはいなかろう。
例えば、客に恋人同士かと聞かれようとも拒む他ないのだ。
元々結ばれてもいないのに。
おれは笑いながら拒む度、胸をギスギスと音を起てながら締め付けられるのだ。
おれは子供だった、弱すぎた。
お前を避け、辛くあたった。
そうしておれとお前の間に、距離ができた。
おれは心底辛かった。
他人への愛想さえなくしてしまうほどに。
全てを放棄したくなる前に、『愛してる』と言えたなら。