クドラク、召喚直前。 

2007年04月13日(金) 19時12分
生命の少ないこの世界に、たまに聞こえる耳障りな雄叫びは、俺にとって獲物が自らの居場所を教えているに過ぎない。
暫く獲物にありつけず空腹と気だるさに横たえていた身体を起こし、大きく欠伸を一つ。
金色の体毛に覆われた俺の姿は、灰色と黒に支配されたこの世界ではよく目立つ。
それが此処らに中々獲物が寄り付かない原因

『…』

耳を澄まし、獲物の足音から自分との距離を確認する。と同時に、獲物の数や種類も確認しておく。
地を飛び跳ねるように走る音からすると、どうやら獲物はブラットラビットらしい。
少々小さいが…まあ二、三匹捕まえれば充分腹の足しになるだろう。
そう考えた俺は寝倉にしていた洞窟を出て、素早く近くの樹の枝に飛び乗り、そのまま枝から枝へと飛び移る。地上からでは近づく前に獲物に気付かれて逃げられてしまう。しかし、上からならヤツラは油断してるから狩りやすい。

『結構居るな〜』

樹の上から下を見やれば案の定、獲物は15ほどの群れをなして呑気に草を食べていた。

『よし』

俺は油断しきっている獲物の頭上から、狙いを定めて数匹目掛けて雷を放とうと魔力を集中させた。
そして、その瞬間俺の意識は遠退いていったのだ…。

置き去られた人形 

2007年03月29日(木) 15時00分
僕は僕として誇れるモノは何も無い。

誰かが触れてくれなければ動くことも出来ない。
ただ、此処にあるだけの存在。

暗い暗い部屋の中、何年も何年もこうして待ち続けた。
体は埃まみれになり、ずっと昔、僕の大好きな少女が着せてくれた、彼女とお揃いの赤い服は薄汚れてボロボロだ。
隙間から僅かに差し込む光だけが、この部屋の唯一の明かり。
あの少女は、今どうしているのだろう?
ちゃんといい子にしているのかな。あの子はよく母親に甘えて困らせていたから。
少女と僕が過ごしていたこの家を戦火が襲ったのは、もう数十年前の事。いや、もっと経ってるかもしれない。


(…ねえ、)

聞こえる?

(僕は、此処に居るよ)

だから、

(どうか無事で…)


動けない僕は、ただ祈るしか出来ない。
君の為に何かしたいのに、僕は祈るしか出来ない。

僕はまた今日も、暗い暗い部屋の中で、ただキミが戻ってくるのを待っている。
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