雨音 

2004年06月22日(火) 23時34分
静まり返った教室の中で白いチョークが黒板をリズミカルに打ち跳ね、滑り、音を立てていた。前の席の男子は黒板を3秒ほど眺めては俯き、ノートにそれを書き写しては顔を上げ、また3秒ほど黒板を眺めては俯いてシャーペンを走らせる機械みたいな動作を繰り返し、「機械みたいだな。」と思いながら右隣の美津子をちらっと見ると前の席の男子と全く同じことをしていた。

今日直撃する予定だった台風は進路を東に変え、ここには暴風域が掠める程度になったらしい。窓の外を細かく千切れた雨が風になぶられて右に左に流れてるのが見える。こっそり薄く窓を開けると湿った風に押しやられるように隙間から雨の音が侵入して来た。風が強いのは嫌だけれども雨の音は嫌いじゃない。空気中で水と水が擦れ合う音。校庭を打って弾ける音。傘の上で跳ねる音。

机に肘をついて顎を乗せて外を眺めながら雨音を聞きつつぼんやりしていると後頭部に何か当たった。振り向くと後ろの席の三宅がムスッとした顔で上の方に「窓を閉めろ」と書かれたノートを見せてきた。教室には先週から冷房が入るようになっていた。何も言わずに無視して窓の外を眺め出すとまた後頭部に何かを当てられたので、何も言わずに窓を閉めた。雨音が止んだ。机についた肘に顎を乗せた姿勢のまま溜め息をつくと、また後頭部に何かを当てられた。ゆっくり振り返って三宅を見ると目が合い、三宅は無表情で人指し指の上に乗せた消しゴムの切れ端を親指で私に向かって弾いた。左の眉に当たった。2、3度左の眉を撫でて三宅を睨むと三宅はまた新しい消しゴムの切れ端を人指し指に乗せていた。あまりのくだらなさに呆れながら、体をもう少し後ろにひねって三宅の机にゆっくり手を伸ばし、三宅の机の上に出ているものをバサバサと全部床に払い落とした。慌てて三宅が床に手を伸ばすのを横目に前に向き直ると、数人の視線が三宅に向けられていたが黒板上を跳ね回る白いチョークのリズムは止まるどころか加速して、右隣では美津子のシャーペンも加速していた。

私はまた窓を少しだけ開けた。

始めます。 

2004年06月20日(日) 23時53分
おはなしぶろぐはただおはなしを綴るだけのぶろぐです。
実は別館ですがたまに本部になります。
勝手なおはなしばかりです。
つまらなかったらごめんなさい。
ごくたまに絵が入るかもしれません。
たまにお話のない日もあるかもしれません。
ごめんなさい。

それでは始めます。
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