亡き兄の日記 

March 26 [Sat], 2005, 17:47
亡き兄の日記を見つけた。

 自分は、兄のことが少し苦手だった。
どうして苦手だったのかあまり良くわからないけれど、
どこか他人行儀に少しの気をつかってしか接することができなかった。そんな気がする。
 喧嘩も、遊びも、もう一人の一番上の兄としたことしか覚えていない。

覚えているのは、すごく穏やかな人だったということ。手が女性のように美しい人だったということ。
兄は今の自分と同じ歳で死んだ。
交通事故だった。

進路が決定し、自分は数日後に神頼みをした札を神社で燃やすことになっている。
ふと兄の部屋にも燃やし忘れた札があったことを思い出した。
自分の住む地域では、今も願ったことが叶うと願をかけた札を決められた日に神社で燃やす風習がある。

一緒に燃やすことにした

死んだ兄の部屋を母はいじることを許さず、几帳面だった兄の部屋は生前のまま残されている。
兄の部屋に足を踏み入れるのは本当に久しぶりで、初めての友人の家のような、新鮮な気がした。
前に貼り付けてあった場所に札がなくなっていて、
不思議に思った自分は落ちてひっかかったのかと
自分の目線より少し高い位置にある飾り棚を手で探った。

そしたらあった。札と・・・日記帳が。
青いそれはなんてことはないものだった。
しかし思った。なぜ?自分が?しかも兄と同じこの歳に?
事実は小説より〜というけれど、この不思議な偶然を自分は少し気持ちが悪いと思った。
そしてこれをどうしようかと思った。

やっとみんな笑って、兄の思い出を語れるようになったのに。
やっとみんな自分の本来の生活を取り戻したのに。

そして思った。
隠そう。
誰にもこの日記を見せず。
今はそれが一番良い方法に思えたから。

けれども自分は弱い人間で、どうにか吐露する場所が必要で。
だからこの場を借りて。
もしも読んで、気を悪くした人がいたらごめんなさい。どうか許して下さい。
そして自分がしていることを許して下さい。どうか。

BGM:柴田淳「未成年」



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